NYダウはIBMの好調決算もあり4日続伸して67ドル高。24日朝方の為替レートはドル円88円台半ば、ユーロ円117円後半で円高一服。午前8時50分に出た12月の貿易収支は6415億円で赤字は6ヵ月連続で、2012年通年では過去最高の6兆9273億円の赤字を記録したが、為替の反応は限定的だった。
どこで下げ止まるか注目された日経平均は45.88円安の10441.11円で始まったが、それを底にすぐプラスに浮上した。その後は前日比プラスとマイナスの間で浮いたり沈んだりしたが、午前11時過ぎに海外の機関投資家の先物買いが入って10500円台に浮上。後場は一段高になり一時10600円台に乗せた。その背景は北朝鮮国防委員会が核実験強行声明を出し、地政学的リスクによる「有事のドル買い」で89円台前半までドル高が進んだことで、輸出関連銘柄中心に株価が上昇した。財務省の中尾武彦財務官の「最近の円安は過度な円高の是正」という発言も円売り材料だった。終値は133.88円高の10620.87円。売買高は32億株、売買代金は1兆8209億円と前日を上回った。1089対470で値上がり銘柄数のほうが上回ったが、TOPIXは900に届かなかった。
プラスが大きかった業種は証券、鉄鋼、保険、自動車、繊維、医薬品、海運、非鉄金属と幅広く、マイナスの業種は電力・ガス、紙パルプの2業種だけだった。
後場の日経平均を引き上げたのはファーストリテイリング<9983>、京セラ<6971>、値上がり率2位に入った大日本住友製薬<4506>で、3銘柄とも3ケタの上昇。自動車取得税廃止、エコカー減税恒久化が好感された自動車株は、BMWとの提携について記者会見したトヨタ<7203>が90円高、個人投資家に人気の低位株でもあるマツダ<7261>は19円高で、ダイハツ<7262>とともに昨年来高値を更新した。
GEとLNG火力発電で合弁した東芝<6502>は大幅高。「787ショック」の中、月産10機を目標に愛知県のMRJ新工場に600億円を投資する三菱重工<7011>は3円高。4~12月期で営業利益2割増の決算を発表した丸井G<8252>は19円高と買われた。私鉄も好調で京成<9009>が昨年来高値を更新している。
電力は、値下がり率ランキング2位に北海道電力<9509>、5位に中国電力<9504>、9位に関西電力<9503>が入り、東京電力<9501>、中部電力<9502>も下落した。円安デメリットがある紙パルプは投資判断引き下げで前日大幅安だった日本製紙G<3893>が26円安で続落した。決算が連結純利益45%減と不振で、想定為替レートを円安修正しながら通期業績予想を据え置いた安川電機<6506> は34円安と大幅に下げ、セブン&アイHD<3382>、リコー<7752>も売られた。バイオ関連銘柄人気の裏でネット系がふるわず、DENA<2432>が値下がり率4位になり、スタートトゥデイ<3092>も下落している。100億円の自社株買いの方針が伝えられたユニ・チャーム<8113>は後場に売られて15円安。ファナック<6954>は4日続落している。
慶大医学部のグループがiPS細胞で髪の毛を生やす細胞「毛包」を再生する実験に成功したというニュースは毛髪の悩みを持つ人には朗報。新興市場のバイオ関連銘柄は今日もにぎわったが、実用化で需要減になりそうなかつらメーカーのアデランス<8170>は下落、アートネーチャー<7823>は上昇と分かれた。育毛剤を出している第一三共<4568>は上昇、大正製薬HD<4581>は下落、ツムラ<4540>は上昇、ライオン<4912>も上昇だったが、この4銘柄は事業規模が大きいので育毛剤市場が縮小しても影響は小さいと思われる。
今日の主役は「アップル関連銘柄」。午前7時に出たアップルの決算は「iPhone」「iPad」の販売が大幅増でも総売上高は市場予測をわずかに下回る18%増で、純利益はほぼ横ばい。業績見通しを幅で表示する異例の発表だった。市場予測を下回ったため、日本のアップル関連銘柄は前場は揃って下落したが、後場は220円高の村田製作所 のように切り返す銘柄が続出。太陽誘電<6976>、TDK<6762>、フォスター電機<6794>、ミツミ<6767>、シャープ<6753>は全てプラスで終わったが、イビデン<4062> は最後までプラスに浮上できなかった。(編集担当:寺尾淳)