ビッグデータを積極的に活用している小売店はわずか6.9%という現実

2016年02月10日 07:59

画・ビッグデータを積極的に活用している小売店はわずか6.9%という現実

矢野経済研究所は、国内の小売業者のITやビッグデータに関する取り組み状況について調査を実施した。

 矢野経済研究所は、国内の小売業者のITやビッグデータに関する取り組み状況について調査を実施した。

 小売業のビッグデータ活用に関する調査は、日本国内の売上高上位の小売業者(百貨店、スーパーマーケット、専門店、生協等)を対象として、電話によるヒアリング調査を実施し、173社が回答した。

 この調査では、POSや顧客、ECサイト等のデータ活用や、ビッグデータ活用のための取り組み状況を調査し、その分析を行った。

 小売業者に、今後、データ活用をしたい業務領域を尋ねたところ、既存客の来店頻度向上が61.8%と最も多く、次にマーチャンダイジング(商品政策)が53.2%、3 番目は客単価の向上で50.3%となっている。

 逆に、O2O(Online to Offline)が11.0%、オムニチャネルの実現は15.6%と、将来的なデータ活用の課題に関しては、回答が少なかった。

 また、ビッグデータ活用への取り組みを聞いたところ、積極的に取り組んでいると回答した企業は6.9%で、まだまだ取り組みが遅れていることが顕著になった。また、未だ取り組んではいないが、今後の重要な課題であるととらえている企業も20.2%に留まった。

 逆に、課題ではあるが優先度は低いという企業が42.8%であり、取り組む予定はなしの28.9%と合わせると、全体の7割以上が現状ではビッグデータの活用にさほど積極的ではないという結果になった。

 業態別に見ると、最も積極的にビッグデータの活用に取り組んでいるのは生協だ。2割弱の企業で積極的に取り組んでいると回答しており、今後の重要課題であるという認識も3割近くに達した。

 取り組む予定はないは1割を下回っており、この結果を他の業態と比較すると、相対的に関心が高いと言えるだろう。

 生協には組合員の情報が正確にストックされていると考えられ、他の業態と比較して、顧客の顔が見えていることが分析のニーズを高めている可能性があると考えていいだろう。
 
 また百貨店については、今後の重要課題であるという回答比率が29.2%と最も高いが、課題と認識しながら、課題ではあるが優先度は低いという企業の比率も50.0%もまた最も割合が高かった。(編集担当:久保田雄城)