子育て中の若い女性はなぜ、幸福度が低いのか

2013年01月29日 10:24

 「子育て中の若い女性は、そうでない女性と比べて幸福度が低い」。内閣府によるレポートで、ややショックな分析結果が明らかになった。

 レポートは、平成23年度に内閣府によって実施された「生活の質に関する調査」を用い、20代~30代の子育て世代の幸福度が、子どもの有無によってどのように影響を受けるかを分析したもの。その結果、男性の幸福度は子どもの存在に影響を受けないが、子どものいる20~30代の女性は、子どもがいない同年代の女性に比べて幸福度が低い傾向にあることが分かったのだ(「子どもを持つ若年層を対象とした幸福度に関する研究」 )。

 年収別で見ると、世帯収入の高い女性はそうでない女性と比べ、全体的に幸せを感じている。とはいえ、世帯収入の低い層より、高い層の方が「子どもがいる女性とそうでない女性」の幸福度に大きな差がついている。

 これはどういうことか。世帯収入が高いということは、夫の収入が高いか、女性自身が働いているかのどちらかだが、レポートでは興味深い結果が示されている。「常用雇用されていない女性」は、子どもの存在が幸福度と関係がないようなのだが、「常用雇用され、かつ子どもがいる女性」は他のどのグループよりも幸福度が低い。子どものいる女性の幸福度がそうでない女性に比べて低いのは、共働きの女性が子育ての負担を多く感じていることによる可能性をこの結果は示唆している。

 ワーキングマザーがもてはやされる中、実態は「育児と仕事の両立」が女性の幸福度を下げる可能性が示されてしまった。男性は子どもがいてもいなくても幸福度に差がないことを考えると、子育ての両立負担は、女性により重くのしかかっているといえるだろう。

 レポートでは、「子育て支援に満足している」女性の幸福度と、子どもがいない女性の幸福度には差が存在しないが、「子育て支援サービスに満足していない」女性は幸福度が低いことが明らかになった。多くの女性が育児と仕事の両立によって幸福度を下げてしまうことのないよう、育児支援サービスの重要性は強調しても足りないだろう。

 最後に、今回のレポートでは調査されていないが、夫が積極的に育児に参加することで、共働き女性の幸福度は多少なりとも、向上する可能性があるのではないだろうか。