再生医療に寄与、東大が世界最高速の分子判別法を開発

2016年02月18日 09:27

 東京大学の研究グループは、分子を世界最高速で判別する方法を開発したと発表した。これまでの20倍以上の速さといい、膨大な細胞から病気の原因となるような細胞を迅速かつ正確に探し出す計測手法として用いることにより、再生医療、がん診断、バイオ医薬品、バイオ燃料などの研究を加速させることが期待される。

 研究グループが開発したのは、振動分光法といわれる手法の一種。分子に光を当てて、散乱された光を分析することで情報を得る。これまでも物理学、化学、生物学、薬学、医学など、分子を対象として扱う分野で広く利用されてきたが、計測にかかる時間が長いことが課題とされてきた。

 研究グループでは、2つのレーザー光に時間差をつけ、その時間差を変化させることでたくさんの分子振動情報を読み取る手法(フーリエ変換コヒーレントラマン分光法)の高速化を実現した。これにより、1秒間に2万4,000回以上の振動分光計測が可能となったという。

 研究グループは「特殊な性質を持つ細胞は、膨大な数の細胞集団の中に埋もれている。その希少細胞を生きた状態のまま探し当てることが重要で、生きた細胞を取り出すことができれば、細胞培養によって数を増やすこともできる。再生医療の実用化に向けた幹細胞の低侵襲スクリーニング、血液中の希少がん細胞の検出、バイオ医薬品の高効率生産、ユーグレナなどの藻類細胞による高効率バイオ燃料の研究などを加速させることに役立つことが期待される」とコメントしている。(編集担当:城西泰)