電力自由化まで、1ヶ月。世界初・新型燃料電池搭載超高層マンションが登場

2016年02月27日 20:26

大淀

積水ハウスが大阪市内2か所にて事業主として開発する超高層マンション「(仮称)グランドメゾン大淀南タワー」

 電力小売り自由化に向けた動きが本格化している。2016年4月に改正電気事業法が施行され、家庭などに向けた電力小売りが全面自由化となる。これ以降は、従来の地域ごとの大手電力会社だけでなく、さまざまな業種の企業が、地域や業種の垣根をこえて、電力を消費者に直接販売できるようになる。また、電気料金の割引サービスなどだけでなく、たとえば携帯電話やガス料金などと組み合わせたお得なプランやセット割引、ポイントサービスなど、暮らし方にあわせた多様なサービスが提供されることが期待されている。

 2016年2月8日現在、169の企業が小売電気事業者に登録しているが、その業種も実に様々だ。例えば、日立造船株式会社<7004>や生活協同組合コープこうべ、凸版印刷株式会社<7911>など、一見しただけでは電気やエネルギーとはあまり関わりのなさそうな企業も散見できる。これらの企業が今後、どのような展開をみせていくのか、期待したいところだ。

 そんな中、エネルギー事業者の動きも注目だ。4月からの電力小売り自由化をにらみ、都市ガス供給大手大阪ガス<9532>は、2月24日に世界最高の発電効率と世界最小の機器本体サイズを実現した家庭用燃料電池エネファーム type Sとともに新たな提案を発表した。目玉となるのは住宅メーカー大手の積水ハウス<1928>と共同で発表した、世界初となる新型燃料電池を全戸に設置した超高層マンションの開発計画だ。対象となるのは、積水ハウスが大阪市内2か所にて事業主として開発する超高層マンション「(仮称)グランドメゾン大淀南タワー」および「(仮称)グランドメゾン内久宝寺タワー」。新型燃料電池を活用することで、CO2排出量の削減はもちろん、一次エネルギー消費量も従来マンションに比べて約25%も削減可能になるという。

 しかし、当該マンションでは、小型化等を実現した新型燃料電池を導入することで、設置スペースの問題を解決した。また、24時間700Wの定格出力運転を行うことで、居住者のライフスタイルによって発電量が左右されるという課題を克服。最大限高効率に発電した環境負荷の小さい電力を家庭で利用でき、余剰電力は、4月から電力小売りに参入する大阪ガスに売電することができる。

 今回の積水ハウスと大阪ガスのこの取り組みは、国土交通省「平成27年度 第2回サステナブル建築物等先導事業(省CO2先導型)」に採択されている。これを機に超高層マンションなどの大規模な集合住宅に燃料電池が導入されれば、日本のCO2排出量は大幅に削減されるだろう。大いに期待したいところだ。(編集担当:藤原伊織)