電力自由化の「認知」は進むも「理解」はこれから

2016年01月26日 12:16

 今春の電力、2017年のガス小売り全面自由化などエネルギー産業構造が史上最大の転換期を迎えることになる。これに先立ち電通<4324>では、2015年11月に全国20~69歳の男女5,000名を対象に「エネルギー自由化に関する生活者意識調査」を実施した。

 それによると、電力自由化について「内容まで知っている」(8.9%)、「内容は分からないが、自由化されることは確かに知っている」(53.3%)を合わせると全体の62.2%となった。第1回調査より15.3ポイント増加。電力の購入先が選べるようになることが広く浸透してきていることがうかがえるとしている。一方で、内容認知については第1回調査から2.4ポイント増にとどまり、参入企業や自由化のメリットなどの内容についての理解はあまり進んでいないという。

 また、電力の購入先の変更意向は、「すぐにでも変更したい」(3.9%)、「変更する方向で検討したい」(17.1%)を合わせて21.0%。これに「検討するが、変更するかどうかはわからない」(59.0%)という「検討意向」までを含めると80.0%に達するという。

 事前申込での変更意向は、「必ず事前申込」(2%)、「事前申込する方向で検討」(9%)を合わせ11%。これは変更意向全体(21%)の約半数を占める。現在の電気料金から月額500円の値下げで変更を検討する人は変更意向全体の29%。月額1,000円の値下げであった場合は56%に達するとしている。

 変更理由としてスコアが高いのは、「時代の流れには乗っておきたい」「新しいことを試してみたい」。事前申込において変更意向者が購入先企業に求めるイメージでは「安心できる」「チャレンジ精神」「個性的・ユニーク」が、また電力購入先企業に対して重視することでは「電力供給が安定している」「再生可能エネルギー」などのスコアが高い傾向にあるという。

 そして、電力会社のイメージは「信頼できる」(37%)、「安心できる」(29%)、「技術力がある」(28%)、「誠実・まじめな」(14%)、「品質の良い」(9%)、「規模が大きい」(22%)で新電力会社を上回るという。一方で、新電力会社は「将来性がある」(15%)、「成長力がある」(13%)、「好感が持てる」(10%)で電力会社を上回る結果となった。

 電力会社に感じるベネフィットは「安定供給」(35%)、「日常の点検やメンテナンス」(23%)、「災害時の迅速な対応」(18%)などであり、新電力会社を大きく上回っている。一方、新電力会社は「月々の電気料金が安い」(15%)が電力会社を大きく上回る結果となった。

 「各家庭の電気料金が下がる」と「長期契約によって割引となる料金メニューが普及する」の2つは、「今後起こってほしいこと」と「今後起こると思うこと」の両方で高いスコアとなっており、生活者の電気料金に対する関心の高さがうかがえるとしている。

 さらに、今回の調査では、ガス自由化に関する調査も実施した。ガス自由化について「内容まで知っている」「内容は分からないが、自由化されることは確かに知っている」と答えた人は合わせて28.7%、「内容まで知っている」人は3.6%。現在の電力自由化の認知(62.2%)はもちろんのこと、1年前(2014年12月)の電力自由化の認知(46.9%)に比べても低く、電力自由化に比べるとまだ認知は進んでいないという。(編集担当:慶尾六郎)