電通は電力小売り自由化を前に、2015年11月に全国の20~69歳の男女5,000人を対象に「エネルギー自由化に関する生活者意識調査」を実施した。2014年12月に続き、2回目。
「家庭用電力の小売り自由化について知っているか」については、「内容まで知っている」が8.9%、「内容は分からないが、自由化されることは確かに知っている」が53.3%だった。この合計の62.2%は第1回調査より15.3ポイントの増加だが、「内容まで知っている」に限ると2.4ポイント増にとどまっており、電通では「参入企業や自由化のメリットなどの内容についての理解はあまり進んでいない」とみている。
「電気の購入先を検討したいか」については、「変更意向あり」が21.0%で、前回の16.9%からアップした。「検討はしない」は20.0%だったことから、電通では80.0%が検討する意向を持つとしているが、このうち59.0%が「検討するが、変更するかどうかはわからない」と回答していることから、「電力自由化への関心は高まってきているものの、具体的な検討については購入先や商品内容などが明らかになってからと考える人が多い」としている。
では、変更意向があると回答した人々にとって、何が変更の動機づけになるかを尋ねると、「月額500円の値下げ」で変更を検討するとした回答が29%、「1,000円の値下げ」としたのが56%だった。この「1000円」について、電通では「調査対象の電気量の平均月額が7104 円だったことを考えると1000円は15%にあたり、値引きを求める額にしては妥当なところ」と分析している。
一方、「電力会社に感じるベネフィット」では、「月々の電気料金が安い」という点について、新電力会社が15%と、8%の電力会社を大きく上回ったが、「安定供給」では新電力7%、電力35%、「日常の点検・メンテナンス」では新電力9%、電力23%と、差を付けられた。
電力小売り各社との契約内容や利用者の使用量によって値下げ幅や割安特典は変わってくる。「変更するかも含めてこれから決める」層が多いことは、乱立している各社にとってまだまだ“草刈り場”が大きいということが浮き彫りになった。(編集担当:城西泰)