財務省と内閣府が11日に発表した1~3月期の法人企業景気予測調査によれば、大企業全産業の景況判断指数(BSI)はマイナス3.2とであり、3四半期ぶりにマイナスとなったことがわかった。前回調査の2015年10~12月期はプラス4.6であり、またその際にプラス5.6を見込んでいたが、結果はそれを大きく下回るものとなった。16年の初めから発生した世界的な株安・ドル安を背景に、企業心理が悪化したことが影響したものとみられる。また、金融機関については、日本銀行が導入したマイナス金利の悪影響に対する懸念もあったようだ。景況判断指数は、自社の景況感が前期より「上昇した」と答えた企業の割合から、「下降した」と答えた企業の割合を差し引いた値。調査時点は2月15日で、約1万3000社が回答した。
大企業全産業のうち、製造業の景況感はマイナス7.9と大幅に悪化。前回調査の10~12月期のプラス3.8から大幅に落ち込んだ。原油価格の下落による販売価格の下落を懸念する化学工業のほか、販売競争の激化を指摘する食品業の落ち込みが目立った。非製造業はマイナス0.7で、マイナス金利の影響を受けた金融・保険業のほか、海運の荷動きが伸び悩んだ運輸・郵便業の悪化が目立った。
そして中小企業全産業の景況感はマイナス16.6であり、これで8四半期連続のマイナスとなった。また、マイナス幅は消費税が増税された14年4~6月期以来の大きさで、製造業・非製造業ともに大幅な落ち込みをみせた。
4~6月期の見通しは大企業全産業でマイナス2.2を見込んでいる。しかし、7~9月期についてはプラス5.6を見込んでいる。15年度の全産業の設備投資(ソフトウェア投資を含む、土地購入を除く)は前年比8.8%増であり、前回調査の7.5%増から上方修正された。スマートフォン(多機能携帯電話)や自動車向けの部品で生産能力を増強する動きがみられた。また16年度の全産業の設備投資は、15年度と比較して6.6%減の見通し。リーマン・ショックが発生した翌年の09年度の見通しである28.5減以来の減少幅となった。(編集担当:滝川幸平)