15年の百貨店売上高、前年比マイナスに転じる

2016年01月29日 08:55

 日本百貨店協会が公表した15の年間総売上高は、全店ベースで6兆1742億円だった。既存店ベースでは前年比0.2%のマイナスで、4年ぶりに前年割れとなった。一方、好調なインバウンド消費に支えられ、訪日外国人については客数が約250万人(前年比163%)、売上は約1943億円と、前年比162%を記録した。全体として絶不調ということもないが、インバウンド消費に支えられる現状を楽観視はできない。  ただ、東京の百貨店は好調だ。年間売上高は、富裕層の旺盛な消費マインドやインバウンド効果などから、前年比3.4%増の1兆6310億円。4年連続で前年を上回り、消費増税のマイナス効果を富裕層や外国人観光客の売上が補っている。高級ブランドを品や美術・宝飾・貴金属などの売れ行きが伸びていることに加え、質を重視する女性客には「化粧品」がよく売れている。

 同時に公表した12月の総売上高は7098億円あまりで、前年同月と比べて0.1%のプラスだった。好調な都市部の売上に支えられ、2か月ぶりのプラスを記録している。12月は全国的に気温が高く、西日本では記録的な降水量となる厳しい条件だった。しかしクリスマスの週を中心に追い上げ、わずかながら前年実績を上回った。

 地区別でみると、都市部では、天候条件などのマイナス要因があった神戸と広島がマイナスだった以外はプラスが目立ち、1.3%増。景況感の回復が遅れる地方はマイナス2.4%にとどまっており、予断は許さない。

 商品別では、主要5品目のうち「衣料品」を除く4品目が前年を上回った。11月から続く暖冬の影響で、コートなど価格の高い洋服が売れ悩んだ。主力の衣料品は5.2%のマイナスに終わり、全体を底上げすることはできなかった。外国人観光客から人気の高い免税品である「化粧品」は、15.3%のプラス。全国18地区すべてで前年実績を上回った。「化粧品」は地方百貨店でも人気が高く、低迷しがちな売上を支える。宝飾品など「美術・宝飾・貴金属」も全国15地区でプラスとなり、前年比は6.3%増だった。9か月連続で前年並みの売上を確保している。日常の「プチ贅沢」や、ちょっとした贈り物などに使える「菓子」(2.3%増)や「惣菜」(1.8%増)も堅調だった。(編集担当:北条かや)