15年度の国内民間企業のIT市場規模は11兆6,350億円に

2015年12月28日 08:42

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矢野経済研究所では、国内民間企業の IT 投資実態と今後の動向について調査を実施した

 矢野経済研究所では、国内民間企業の IT 投資実態と今後の動向について調査を実施した。調査期間は2015年7月~11月、調査対象は国内の企業、団体、公的機関など、調査方法は民間企業、および公的団体・機関などに対する郵送アンケート、および文献調査を併用した。

 まず、2014年度の国内民間企業のIT市場規模(ハード・ソフト・サービス含む)は、前年度比3.6%増の11兆3,180億円と推計した。2015年度は前年度比 2.8%増の11兆6,350億円、2016年度は前年度比1.1%増の11兆7,630 億円、2017 年度は前年度比0.6%減の11 兆6,900億円と予測した。

 内閣府・財務省の「法人企業景気予測調査」や、日本銀行の「全国企業短期経済観測調査(短観)」など、様々な指標から、大企業、中堅企業を中心に景況感は明るい見通しが示されている。一方、中小企業では依然として経済環境に対して厳しい見方が続いているが、この調査において実施をした法人アンケート調査における回答企業の売上高、営業利益をみると、いずれも2013年度から2015年度に向けて上昇傾向にあり、堅調な業績を見込んでいる企業が多いという。

 2016年度までは、同法人アンケート調査における回答企業の比較的明るい見通しと大手ITベンダーの決算が順調に推移していることなどを受けて、国内民間企業のIT市場は微増ながら拡大していくと予測している。2017年度については金融業を中心とした基幹システム等の更新・開発案件が一巡すること、また2017年4月の消費税再増税などがマイナスに影響するものとみられ、前年度比で若干ながら減少すると予測している。

 なお、海外に目を向ければ中国経済の不透明な先行きなど、世界経済に大きな影響を及ぼす要因もあるため、将来動向については注視する必要があるとしている。

 そして、調査において実施をした法人アンケート調査の設問項目のうち、今後3年間におけるIT投資の目的(複数回答)について、過去の調査時における回答比率を比べてみると、「情報セキュリティの強化」「システム基盤全体の効率化」「社内コミュニケーションの強化」「営業の強化」「財務会計業務の効率化」は上位 5 項目にあるが、なかでも「情報セキュリティの強化」に対する回答比率が 2012 年調査時以降、年々上昇傾向にあるという。

 昨今の企業や団体からの個人情報の漏えい問題などを受け、個人情報の管理・運用体制は対処すべき最重要の課題となっている。同社は、こうした背景が各企業や団体における情報セキュリティ対策への投資行動として表れているものと考えると分析している。(編集担当:慶尾六郎)