個人の景況感、1年ぶりに悪化。日銀アンケート

2016年01月12日 08:47

 日本銀行が2015年11月6日から12月3日に、全国の20歳以上の男女を対象に実施された「生活意識に関するアンケート調査」の結果が8日に発表された。それによれば、1年前と比較して景気が「良くなった」という回答から、「悪くなった」という回答を引いた個人の景況感DIはマイナス17.3であり、9月に行われた前回調査のマイナス15.2よりも2.1ポイント悪化した。悪化するのは1年ぶりのこと。日本銀行はこの結果について、調査期間中になされた15年7~9月期のGDP速報値が前期よりもマイナスという報道が、マインドに影響したのではないかとの見方を示している。1年後の景況感DIについては、前回調査のマイナス17.8よりも2.1ポイント低下してマイナス19.9であり、2期連続で悪化となった。

 1年前と比較して現在の暮らし向きに「ゆとりが出てきた」という回答から、「ゆとりがなくなってきた」という回答を引いた暮らし向きDIは、前回調査のマイナス41.0から1.3ポイント上昇して、マイナス39.7と4期連続で改善した。現在の収入DIについては、前回調査のマイナス26.0から0.3ポイント上昇してマイナス25.7であり、こちらは5期連続の改善。そして1年後の収入DIは、前回調査のマイナス26.5から1.9ポイント上昇して、マイナス24.6であった。

 そして今回の調査結果で注目したいのが、物価についての実感だ。1年後の物価について「上がる」という回答は、前回調査の81.9%から減少して77.6%であり、13年3月調査の77.2%以来となる低水準となった。そして5年後の物価についても「上がる」という回答は、前回調査の83.7%から減少して80.1%であり、こちらは12年12月調査の72.6%以来となる低水準であった。

 このように、1年後、5年後いずれも「上がる」という回答の割合が低下しており、「異次元緩和」前の水準となっている。これは、原油価格の下落により、足元の物価低迷が市井の家計の物価の実感に影響をおよぼしている可能性が考えられる。

 今回の調査は15年11月6日から12月3日に郵送で実施され、全国の20歳以上の男女2122人が回答した。(編集担当:滝川幸平)