微細加工技術によってチップ上に微小な流路や反応室等を設け、微量の流体でも分析することを可能にしたマイクロ流体デバイス。μ-TAS(Micro Total Analysis System)やLab on a Chipとも呼ばれ、近年のデジタルヘルスケア市場勃興の影響もあって、今、最も注目を集めているものの一つである。
このマイクロ流体デバイスにつきパテント・リザルトが、日本に出願されたマイクロ流体デバイス関連の特許を集計し、各個別特許の注目度を得点化する「パテントスコア」をベースとして、特許の質と量から総合的に見た評価実施、その結果を発表した。
その結果、「総合力ランキング」では、1位が島津製作所<7701>、2位がパナソニック<6752>、3位GYROS(スウェーデン)となっている。4位のアークレイも含めると医療機器メーカーが上位を占めているものの、2位のパナソニックの他、総合力上位5位以外にもローム<6963>やソニー<6758>、シャープ<6753>といった企業の出願が多く、電気メーカーや半導体メーカーも同市場での存在感を強めている。
その他、動向を注目すべき企業としては、コニカミノルタグループが挙げられる。本調査によると、コニカミノルタホールディングス<4902>、コニカミノルタエムジー、コニカミノルタアドバンストレイヤーからの出願があり、これらの企業間に共同出願はない。しかしこのコニカミノルタグループは、4月にグループ会社を統合し、社名もコニカミノルタへと変更する。これらグループ企業を統合して評価した場合、現段階で総合力が2位にまで上昇することとなり、同市場における中心的な企業の一つになる可能性が大きいのである。
製造業や半導体の分野でも見られた通り、日本企業は微細化技術に関しては得意としている。しかし、一時期の優位性のみで後が続かず、他国企業に出し抜かれるということが続いている。研究開発費だけでなく、技術流出を防ぐための費用というものにも優遇税制を設けても良いのではないか。そう感じる人も少なくないであろう。コアとなる技術が流れれば、お金が流れ、人が流れる。そろそろ多くの日本企業は、性善説とは一定の距離を保つべきではないだろうか。(編集担当:井畑学)