【MotoGP第6戦】イタリアGP 大激戦を制しJ・ロレンソ今季3勝目

2016年05月23日 09:49

2016イタリアGP

「レース序盤のJ・ロレンソ対V・ロッシ

 5月22日、MotoGP第6戦イタリアGP決勝が行われた。舞台となるムジェロ・サーキットは、MotoGPが開催されるサーキットの中でも屈指のハイスピードコース。一周5,245mのこのサーキットはパッシングポイントが非常に多く、下り勾配の1,141mのロングストレートでは超高速バトルが繰り広げられる。

 また、バレンティーノ・ロッシ(モビスターヤマハMotoGP)やイタリアンメーカーのドゥカティとそのライダーであるアンドレア・イアンノーネ、アンドレア・ドビツィオーゾにとっては母国で行われる大事なレースでもある。多くのロッシファンやドゥカティファンが詰めかけ盛り上がる中、イタリアGPは決勝を迎えた。

 スッキリ晴れた青空の下、気温26℃、路面温度49℃のドライコンディションで迎えた決勝、抜群のスタートを切ってホールショットを決めたのは5番グリッドスタートのホルヘ・ロレンソ(モビスターヤマハMotoGP)だった。予選でポールポジションを獲得したV・ロッシも好スタートを切り、2番手にぴったりとつけた。

 スタート直後、3台が絡むアクシデントが発生するなど序盤は混戦模様。2番グリッドスタートのマーベリック・ビニャーレス(チームスズキエクスター)と3番手スタートのA・イアンノーネ(ドゥカティ)はともに出遅れ、10番手・11番手まで順位を落とした。

 それに対し予選13番手のA・ドビツィオーゾ(ドゥカティ)は好スタートで6番手まで浮上した。

 レース序盤は混戦模様ではあったが、先頭争いをするJ・ロレンソとV・ロッシが頭一つ抜け出してレースを引っ張る展開となった。マルク・マルケスは3番手につけ、前を窺うポジションにつく。

 レース前半戦はJ・ロレンソの隙をぴったりと後につけたV・ロッシが窺う展開となり、チームメイトバトルの行方に観客の期待も高まっていた。だが、異変は突如起こった。V・ロッシのマシンのエンジンが突如白煙を吹くトラブルに見舞われたのだ。これによってV・ロッシは10周目でリタイアを余儀なくされ、ノーポイントに終わってしまった。

 V・ロッシの戦線離脱により、トップを行くJ・ロレンソの一人旅となるかに思われたが、2番手走行中のM・マルケスがレース中盤よりペースを上げJ・ロレンソに肉薄。また、レース中盤はスタートで出遅れたA・イアンノーネもハイペースで追上げ、チームメイトのA・ドビツィオーゾと最高速350kmオーバー、抜きつ抜かれつの激しい3番手争いを繰り広げた。

 レース終盤、残り4周というところで、M・マルケスが仕掛け始めるも、J・ロレンソは手堅く守りトップの座は譲らない。その後も何度かM・マルケスが先を窺うシーンはあったが、J・ロレンソは堅実で安定した走りで先を許さなかった。

 そんな鍔迫り合いの中レースはファイナルラップに突入。M・マルケスがコーナーで果敢に攻め、ついにJ・ロレンソを交わし、最後の仕掛けどころである最終コーナーの入りでもきっちりとトップを守った。そんなM・マルケスを見て誰もがその勝利を確信したに違いない。だが、イタリアGPのドラマは最後の最後に待ち受けていた。最終コーナーの立ち上がり、J・ロレンソが一気に加速し、ゴールラインの直前でM・マルケスを交わしてフィニッシュ。0.019秒差という大接戦を制したのはJ・ロレンソだった。 

 また加熱した3位争いを制したのはA・イアンノーネ。4位はダニ・ペドロサ(レプソルホンダ)、5位はA・ドビツィオーゾという結果となった。

 J・ロレンソは前戦のフランスGPからの連勝でポイントを伸ばし115ポイントとし、2位につけるM・マルケス(105ポイント)に対して10ポイント、今回リタイアをなった3位V・ロッシ(78ポイント)には37ポイントのアドバンテージを築いた。

 ヨーロッパラウンドに入り、好調のJ・ロレンソがチャンピオンシップを引っ張る展開となっている今季のMotoGP。だが先はまだまだわからない。ポイントランキングトップではあるが、2位のM・マルケスとの差はまだ僅差である。総合3位のV・ロッシは今回はマシントラブルでリタイアを喫したが、V・ロッシ自体はイタリアGPでも予選で一番時計を出すなど好調ぶりを見せている。今季中盤戦で情勢が変わる可能性はまだまだあるのだ。

 さらに、スズキやドゥカティも好調ぶりを見せている。スズキは予選でM・ビニャーレスが2番グリッドを獲得し、レースでも6位でフィニッシュしているし、ドゥカティのストレートでの速さは目を見張るものがある。レース結果もA・イアンノーネ3位、A・ドビツィオーゾが5位と好調だ。ドゥカティやスズキ勢の今後の走りにも期待が高まる。

 なお、今季をもってヤマハを離れ、来季はドゥカティに移籍することになっていたJ・ロレンソの後釜はM・ビニャーレスに決定した。これによってモビスターヤマハMotoGPは来季はV・ロッシとM・ビニャーレスという体制になる。

 さらに、ドゥカティはJ・ロレンソの移籍に伴いA・イアンノーネを放出。A・イアンノーネは来季はチームスズキエクスターで参戦することとなっている。

 最後の最後、まさかの展開で白熱したMotoGP第6戦イタリアGP。ヨーロッパラウンドに入り、ファンの注目度はますます高まっている。次戦は6月5日に行われるカタルーニャGP。MotoGP屈指の観客動員数を誇る人気のサーキットで果たしてどんなレースが行われるのか今から楽しみである。(編集担当:熊谷けい)