【MotoGP第2戦アルゼンチンGP】M・マルケスが2年振りに今季初優勝

2016年04月04日 15:50

 2016年4月3日、MotoGP第2戦アルゼンチンGPの決勝が行われた。舞台となったテルマス・デ・リオ・オンドサーキットは今年で3年目の開催となった。首都ブエノスアイレスから北西に約1,100kmに位置し、アルゼンチン国内では有名なスパリゾート地である。全長4806m、コース幅16m、右コーナー9、左コーナー5、最長ストレート1076mというコースレイアウトは多くのライダーから好評を得ているが、レースの開催数が少ない為、路面のグリップ力はよくない。従ってタイヤの選び方、使い方が重要なサーキットだ。また、今年からワンメイクでタイヤを供給するミシュランにとってもテストを行ったことがないサーキットの一つで、走行データに乏しく大きなチャレンジとなる。

 決勝は曇り、気温24°C、路面温度30°Cのドライコンディションだが、レース開始前に降った雨の影響で路面が乾ききっておらず、難しいコンディションとなった。またレースルールが大きく変更された。25周予定だった周回数は20周になり、9周目〜11周目の終わりまでに、マシン乗り換えが義務となった。ポールポジションのマルク・マルケス(レプソルホンダ)、2位ヴァレンティーノ・ロッシ(モビスターヤマハMotoGP)、3位ホルヘ・ロレンソ(モビスターヤマハMotoGP)の順でグリッドに着き、レースはスタートした。

 序盤から波乱の予感を感じさせるレースとなった。ホールショットを決めたのはスタートの得意なJ・ロレンソだったが、すぐに5番手スタートのアンドレア・ドビツィオーゾ(ドゥカティ)がトップになる。以下2番手V・ロッシ、3番手M・マルケスと続いた。4番手スタートのダニ・ペドロサ(レプソルホンダ)はスタート直後に接触を避けようとして膨らんでしまい、15番手と大きく順位を落としてしまった。3周目で3番手だったM・マルケスがV・ロッシ、A・ドビツィオーゾを続けてパスしてトップに躍り出る。またホールショットを取ったJ・ロレンソは序盤で7番手に下がったが、すぐ前を走行していたジャック・ミラー(エストレージャガリシア0,0マルクVDS)が転倒した為、順位を一つ上げた。しかし6周目で今度はJ・ロレンソが転倒しそのままリタイアとなってしまった。

 レース中盤になり、上位陣のバトルは激しくなる。トップはM・マルケス、2番手はV・ロッシ、そしてマーベリック・ビニャーレス(チームスズキエクスター)がドゥカティの2人のライダーを抜き、3番手に浮上した。路面状態は良くなく、マシンコントロールが難しい為にコーナリングで曲がりきれず大きく膨らむライダーが多く見られた。その後、9周目から今回のルールで各ライダーが続々とマシンを乗り換えていく。この乗り換えでV・ロッシはM・マルケスに遅れをとり、3秒以上の差をつけられてしまった。またマシンのフィーリングが合わないのかタイムも上がらず、3番手のM・ビニャーレスにもパスされそうになる。残り6周でトップのM・マルケスと2番手V・ロッシとの差は6秒以上に広がった。残り3周でV・ロッシに迫っていたM・ビニャーレスがウエット・パッチに乗り上げ、転倒しリタイアとなった。しかしその後ろを走行していた3番手アンドレア・イアンノーネ(ドゥカティ)、4番手A・ドビツィオーゾがV・ロッシに迫り、激しい2位争いとなる。M・マルケスは2番手に7秒以上のアドバンテージを作り、ほぼ独走状態となる。ラストラップは2番手にA・ドビツィオーゾが上がり、V・ロッシとA・イアンノーネが3位争いをしていたが、A・イアンノーネがV・ロッシをパスした後、コーナリングでA・ドビツィオーゾを巻き込んで転倒。両者ともリタイアというまた波乱の展開となってしまった。結局レースを制したのはM・マルケス、2位はV・ロッシ、3位には粘り強く追い上げていたD・ペドロサが繰り上がる形でフィニッシュした。

 またドゥカティ勢ではユージン・ラバティ(アスパーチームMotoGP)が4位フィニッシュと好成績を収めた。

 今回のレースは天候に左右された上に、まだデータの少ないミシュランタイヤでの走行、マシン乗り換えなどライダーやチームにとって先の読みにくいレースとなった。開幕戦に優勝したJ・ロレンソをはじめ、8名ものライダーが転倒リタイアとなるまさにサバイバルレースと言えただろう。今シーズンはまだ2戦を消化したのみ。ヤマハ、ホンダ、ドゥカティ、スズキともそれ程大きな差はまだ見えていない。またサテライト勢の活躍も見逃せない。今回の経験でそれぞれのマシンの良さを活かし、今後好成績を得るのはどのチームになるのか楽しみである。次戦は4月10日、アメリカテキサス州にあるサーキット・オブ・ジ・アメリカズで開催される。(編集担当:水沢潤)