矢野経済研究所では、国内ブライダル関連市場の調査を実施した。調査期間hは2015年12月~2016年2月、調査対象はブライダル産業に参入しているサービス業や物販業を中心とした企業及び関連団体等。調査方法は同社専門研究員による直接面談、電話・FAX・郵送によるヒアリング、ならびに文献調査を併用した。
それによると、2014年のブライダル関連市場規模(主要6分野)は前年比 99.0%の2兆5,649 億円であり、市場規模は縮小がつづいている。2015年は前年比 99.3%の2兆5,480 億円となり、前年に続き市場の縮小を見込んでいる。厚生労働省のデータによると、2015年の婚姻件数は速報ベースで63万5,000 件(2016年1月1日公表値)となり、2014年比で8,700件余りのマイナスである。一時は増減を繰り返すような動きであった婚姻件数も、減少基調が強まっている。婚姻件数が減少していることに加えて、全体的に婚礼関連分野への支出を抑制する流れも強まっていると考えられるとしている。
ブライダル関連市場(主要6分野)において5割以上の構成比を占める挙式披露宴・披露パーティ市場は、都市部を中心に少人数化が進んでいる。高単価の婚礼の受注ができていた市場環境は変化し、こうした少人数婚の受注に消極的であった施設運営側でも、昨今では予約の入りにくい日時を中心に、積極的な販売に踏み切る動きが増加している。
2016年のブライダル関連市場規模(主要6分野)は、挙式披露宴・披露パーティ市場についてはほぼ横ばいとなることが見込まれることから、前年比 99.7%の2 兆5,400億円と予測した。
2014年の挙式披露宴・披露パーティ市場規模は事業者売上高ベースで前年比 99.5%の1兆4,240億円であった。2015年は同99.4%で1兆4,160億円と微減を見込み、2016年は同99.8%の1兆4,130億円とほぼ横ばいを予測する。2015年は 2014年以上に業界にとって厳しい状況であった。
婚姻者数も挙式披露宴実施者も減少していることに加え、インターネットなど、事前に情報収集のできる媒体が一般化したことで、実際に下見を兼ねて足を運ぶのは2~3施設という状況下、来館者も減少傾向にある。そのため、結婚情報誌やインターネットに掲載する画像や情報が大きなカギとなるが、有力企業では特に、試行錯誤を重ねながら改善や更新を行っている。競合する他社の広告や販促活動については少なからず研究され続けており、なかでも地域の一番店ともなれば、その販促活動は常に追随され、なかなか優位性が訴求しにくい状況にあるとしている。
また、新店舗効果の短期化は企業業績の伸び悩みにつながっている。かつては出店の広告を出せば、圧倒的な集客力を発揮し、多くの枠が予約でうまった。最近では、一定の訴求力をもつものの、従来のような状況はすべての新店舗にあてはまることではなくなっている。こうした状況から、出店すればその店舗で2~3年は業績を牽引するほどの効果が継続したと言われるが、最近ではその期間が短くなっている。実際に、継続的に新店舗を出店してきた企業でも、初期投資の大きい新規出店のペースは総じて低下している。
現状では少人数婚が主流となることはないという見方もあるが、少人数婚を志向する層が増えることが予想されるという。同社では招待客が少人数化することによる単価低下も、企業規模によっては影響を及ぼすようになるとみている。(編集担当:慶尾六郎)