「ナシ婚」増加に苦悩、新サービスを競うブライダル業界

2015年03月15日 12:17

「ナシ婚」増加に苦悩、新サーヒ_スを競うフ_ライタ_ル業界

先日、女性誌モデルの結婚報道の際、ブライダルファッションデザイナーの桂由美氏が、昨今の“ナシ婚ブーム”を嘆いたことは記憶に新しい。近頃では芸能界にも、入籍事実の周知と公開のみで済まし、結婚式や披露宴を行わない方が増えているという。

 先日、女性誌モデルの大石参月さんの結婚報道の際、ブライダルファッションデザイナーの桂由美氏が、昨今の“ナシ婚ブーム”を嘆いたことは記憶に新しい。近頃では芸能界にも、入籍事実の周知と公開のみで済まし、結婚式や披露宴を行わない方が増えているという。

 結婚式と言えば、かつてのバブル期には豪華絢爛な式場、500万円超の披露宴など「派手婚」が主流だった。しかしその後、景気は低迷し、費用も100万円以下、スライド等を手作りする「地味婚」が普及。そして2008年のリーマン・ショックを契機に、今では結婚式そのものを行わない「ナシ婚」を選択するカップルが全体の半数を占めるという現実がある。

 「ナシ婚」選択の理由としては、ずばり「お金がない」が最多。しかし「結婚後の生活や子供の将来など、より有益なことにお金を回したい」「セレモニーは形式的で好きじゃない」「準備が多くて面倒」「招待いかんで人間関係に線引きしたくない」「職場の上司や同僚とプライベートで関わりたくない」等、不況が生んだ“しらけ世代”“ゆとり世代”に特徴的な価値観も多く見える。

 この危機的状況の中、各ブライダル企業は生き残りと市場の復活を賭け、新形態のサービスを次々と打ち出している。ネットで多くの情報を得られる現代、自分たちの好みにマッチした場所を厳選しようとするカップルも増えた。そこで業界側も、個性や多様性によりスポットを当てる動きを見せている。例えばリッツ・カールトン大阪には、新郎新婦の出身地や出会いに因む料理を出すサービスがある。また帝国ホテル大阪では、外部のディレクターを登用し、二人の生立ちや価値観を聞きながら衣装、演出、料理の立案をし、オリジナリティを強調する。

 また近頃では、結婚当初は「ナシ婚」で済ませたものの、子供が成長して経済的にも安定した頃に簡易な記念的イベントを行いたいという声も出てきた。そんな夫婦のために、日比谷花壇では“愛妻記念日フォトプラン”を企画。礼服に身を包んで写真撮影の後、オプションでフルコースディナーを楽しめる。またオリエンタルホテル東京ベイは、子供を連れての「ファミリー婚」の流行に応じ、マタニティの新婦や子供たちの披露宴参列にあたり、安心・安全に配慮した“マタニティ&ウィズベビーウエディングプラン”の販売をしている。

 元来は華やかさが売りのブライダル市場。この閉塞的な時代にいかなる新発想で受け容れられていくのか、世の刮目に値する、インパクトの強いサービスが求められているようだ。(編集担当:久保田雄城)