「入社時は腰かけ今は命がけ」OL川柳は一般職のリアルな姿?

2013年02月01日 12:25

 「うちの部下 見ざる聞かざる 気が利かず」「『至急でね!』 頼んだおまえが なぜ帰る」

 オフィスで働く女性のためのフリーペーパー「シティリビング」が読者からの投稿作をまとめた『女子会川柳』(ポプラ社)が話題となっている。株式会社サンケイリビング新聞社が運営する「シティリビング」では、1997年から毎年「シティOL川柳大賞」を実施しており、16年間で集まった6万5000以上の投稿作品から、88作をまとめて書籍化した。

 1986年の男女雇用機会均等法から25年。最近では働く女性に対して「職場の華」や「腰掛けOL」という表現をほとんど見かけなくなった。女子の四年制大学への進学率は1985年の13%から2009年には44%まで上昇し、総合職として活躍する女性も増えている。2009年には30歳未満の単身世帯の可処分所得で女性が男性をわずかに上回るなど、職場で女性を「女の子」扱いしていた時代が遠い昔のようである。

 「OL=オフィスレディー」という言葉が誕生したのは、東京オリンピック直前の1963年。それまで使われていた「BG=ビジネスガール」が英語で「売春婦」を連想させるとして、NHKによって放送禁止となったことを受け、『女性自身』が代替語を公募した。70年代には、日本の職場で若い女性社員を指す言葉として定着したようだ。

 「OL」とは主に、定型的・補助的な業務を担当する一般職の女性社員のことを指す。一般職は、86年の男女雇用機会均等法と同時に誕生した「コース別人事制度」によって、「主に女性が応募する職種」として設定されたもの。以来、男性や一握りのキャリア志向の女性は「総合職」、その他大勢の女性は補助的な業務をおこなう「一般職」として採用されてきた。若手女性社員に熟練した仕事の能力は求められていなかったのだ。女性にとってはある意味「楽な」時代だったかもしれない。

 その一般職も、90年代後半からはIT化による業務効率化などによって、派遣やパートに置き換わっている。OLとは、企業が若い女性を「職場の華」として抱える余裕があった時代を象徴する存在なのだ。「入社時は 腰かけ今は 命がけ」。今では、腰掛けだったOLたちも不況で仕事を続けざるを得なくなっている。女性たちにとって、仕事における選択肢は増えたのだろうか、それとも減ったのだろうか。答えは未だに出ていない。