菅義偉官房長官は11日の記者会見で、350人の自衛隊員がPKO活動のため派遣されている南スーダンの首都・ジャバでも大統領派と反政府勢力との戦闘が繰り返され、一部報道で270人が死亡。さらにPKOの中国人も巻き添えになり死亡するなど、戦闘状態になっているとの状況を踏まえ、記者団から、陸上自衛隊の宿営施設に数百人規模の市民が保護を求めてきたという情報もあるが事実関係はどうかとの問いに「具体的なことについては承知していない」と回答を避けた。
また反政府勢力の報道官が「内戦状態に逆戻りしている」と欧米メディアに発言していることに対しての日本政府の認識についての質問には「現地に派遣されている要員からの報告や大使館、国連からの情報などを総合的に勘案して、UNMISSの活動地域においては、我が国のPKO法における『武力行使の発生』とは考えていない」とした。
この判断の下に、菅官房長官は自衛隊の南スーダンからの撤退については「国連の対応も踏まえながら現地情勢など緊張感を持って注意していく。部隊の安全確保には万全を期しながら(PKO活動を)実施している」と答え、反政府勢力報道官が内戦状態としている中でも、自衛隊は内戦状態の中にはいないとして、安全確保に漫然を期したうえで、PKO活動は続けさせる考えを示した。
積極的平和主義や国連の平和活動により能動的な姿勢で臨むことで国際貢献を考える安倍政権では南スーダンでのPKO活動をより強化し、実効をあげる姿勢。一方で、自衛隊の宿営地に逃げ込んだ市民を守るために武装勢力と交戦する可能性が皆無とはいえない。「殺し・殺される国になる最初の一歩になりかねない」と共産党などは強い懸念を示している。(編集担当:森高龍二)