7月28日、住友理工<5191>の2016年4~6月期(第1四半期)決算が発表された。業績は、売上高は前年同期比3.6%減、営業利益は2.1%増、税引前利益は0.7%減、四半期利益は33.8%増、最終四半期利益は40.7%増で、減収、最終2ケタ増益だった。最終利益の2017年3月期の通期業績見通しに対する進捗率は21.1%となっている。
海外での販売は数量は伸びても為替の円高により円ベースの売上高が目減りした。最終利益の大幅増益は、海外事業について昨年度実施した事業構造改革が寄与している。
自動車用品は、国内では軽を中心に販売台数が低迷したことが影響し、海外では北米、ヨーロッパ、中国、アジアでは販売が好調だったが、為替の円高により円ベースの売上が減少した。そのため外部顧客への売上高は4.4%減。営業利益は前期に実施した子会社の構造改革効果が出て9.6%増と伸びている。
一般産業用品は、産業資材関連製品は前年同期の実績を上回った。住宅部門の地震対策用制震ダンパーの需要が国内で伸び、鉄道車両用防振ゴムも堅調。プリンター向け機能部品など事務機器向け精密部品分野は中国の需要低迷を受け、前年同期の実績を下回った。一般産業用品全体の外部顧客への売上高は1.2%増、営業利益は付加価値の高い精密部品の需要低迷が影響して37.6%減だった。
2017年3月期の業績見通しは、売上高は3.4%減、営業利益は4.9%増、税引前利益は5.1%増、当期利益は39.2%増、最終当期利益は72.4%増という減収、最終大幅増益。予想年間配当は1円増配して19円で今回、修正はなかった。
住友理工は5月23日、2020年度を最終年度とする中期経営計画「2020年住友理工グループVision(2020V)」を策定したと発表した。「自動車」「インフラ」「エレクトロニクス」「住環境・健康介護」の4分野に注力し、「着実な成長と体質強化」による収益力の向上を推進する。海外事業では2017年2月にメキシコで新工場が稼働を開始する予定。自動車用ホースではトヨタ、日本ゼオンと共同で、植物原料由来のバイオ合成ゴムを原料とするエンジン吸気系・駆動系ホースを世界で初めて開発している。4月にトヨタの国内生産全車種に採用されることが発表された。耐油性、耐熱性は従来型ホースと同等だが、製造から廃棄までのCO2(二酸化炭素)排出量を約20%削減できる。(編集担当:寺尾淳)