積水ハウスが日本初のスマートタウンまちびらき

2012年05月01日 11:00

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まちびらき式典で積水ハウスの阿部社長は「スマートタウンの普及がエネルギー問題の解決や新ビジネスの創出、環境技術での国際競争力にもつながる」と述べた。写真は「スマートコモンシティ明石台」のまちなみ。

 各住宅メーカーが次々とスマートハウスを展開し、スマートシティやスマートコミュニティの実証実験を行う中、積水ハウスが先陣を切って日本初となるスマートタウンのまちびらきを行い、普及に向けた本格的なスタートを切った。4月27日、震災復興の地である仙台郊外に開発された「スマートコモンシティ明石台」でまちびらき式典が行われ、メディアや実験・未来図の中にしか無かったスマートタウンでの実際の暮らしが現実のものとなる。

 「スマートコモンシティ明石台」は、東日本大震災後に開発された宮城県内最大級の大型住宅団地(431区画)で、昨年12月から販売を開始し、既に60区画が契約済みだ。

 「スマートコモンシティ明石台」の軸となるのは、太陽電池・燃料電池・蓄電池の3電池を組み合わせ、それを積水ハウスが独自開発したHEMS(ホームエネルギーマネジメントシステム)で連動制御するスマートハウス「グリーンファースト ハイブリッド」である。3電池連動制御のスマートハウスを軸としたスマートタウンは日本では初めてのことで、まちびらき現在で既に7棟の住宅が建築されており、将来的には全体の3割の導入を目指すという。他の住宅メーカーが販売するスマートハウスは、太陽電池と蓄電池を組み合わせたものが多く、HEMSも電気・ガスの使用量や太陽電池の発電量などの「見える化」が主眼となっている。一方、積水ハウスの「グリーンファースト ハイブリッド」は、3電池を自動で最適制御することが可能。通常時は太陽電池で発電した余剰電力を売電し停電時は蓄電池に貯めるように自動制御したり、蓄電池の電池残量を常に1/2以下にならないよう制御できる。このように3電池を連動制御させ、適切な電力管理・供給を行えるスマートハウスは世界でも初めてだという。

 「スマートコモンシティ明石台」では「グリーンファースト ハイブリッド街区」を中心に、一般街区も全戸が太陽光発電システムを搭載した環境配慮型住宅「グリーンファースト」となっており、まち全体で1年間に発電する電力量は2508MWhにも上るとのこと。これは、電力消費量1469MWhを大幅に上回るため、売電を通じて近隣世帯への電力供給も可能で、太陽電池だけでも1.29MWの出力がありメガソーラー発電所にも匹敵するというから、まさに「まち全体が発電所」といった様相である。その他、団地内に警備会社の待機所を配置して防災・防犯に配慮されていたり、震災を機に注目を集めているコミュニティー機能の再生にも寄与する「防災機能を備えたコミュニティーセンター」が設置される計画であったりと、安心・安全・自立・共生など、今求められるあらゆるものが詰まったスマートタウンとなっている。

 積水ハウスでは、今回の「スマートコモンシティ明石台」を皮切りに、単なるエネルギーの効率的な利用にとどまらず、「安全・安心」「健康・快適」「エネルギー」「見守り」などをテーマに茨城県や福岡県、千葉県、神奈川県など、全国各地でスマートタウン計画が進行している。他国にも先駆けて、スマートハウス・スマートタウンの普及に貢献してくれることを期待したい。