スマートハウス元年と呼ばれた2011年。そして、その普及の足掛かりとなる重要な年と言っても過言ではない12年。スマートハウス市場は今、どのような動きを見せているのだろうか。
今年の2月24日に経済産業省が公表した『エコーネットライト』は「HEMS(家庭用エネルギー管理システム)」と家庭内機器・スマートメーターをつなぐ標準的規格。この統一規格が発表されたことで、スマートハウスを取り巻く環境は一気に変わっていく可能性もあり、新規参入のベンチャーから大手の関連メーカーまで、市場拡大の可能性を求める動きが活発化すると見られている。それを裏付けるように、同月末に富士経済が発表した「国内パワーネットワーク市場の調査」の報告によると、大震災を機に国のエネルギー管理体制はスマートグリッド(電力の供給側と需要側との間で情報通信技術などを使い、電力を最適化する次世代送電網)やデマンドレスポンス(電力需給の逼迫時に、需要家側の電力消費を制御し、ピークカットを実現する仕組み)を導入した体制に向かって再構築の動きを見せているとしている。そして、一般家庭においてもスマートメーター普及を前倒し、時間帯別料金によるデマンドレスポンス導入の可能性が高まり、ハウスメーカーのスマートハウス展開も本格化するだろうと予測した。
ハウスメーカー各社も需要期である春以降に標準を合わせ、新商品の発表が盛んだ。機能的に横並びの傾向は避けられないため、各社とも様々な販売戦略を用意し、また個性的な設備品を導入するスマートハウスの商品展開が目につく。
パナホームは同社の戸建て住宅全商品にスマートハウスを用意し、「スマート・パナホーム」として4月から発売を開始した。「創畜連携システム」を採用し、”経済優先モード”など3つのモードをライフスタイルや価値観によって選択することができる。また、同タイプ以外にも「太陽光発電タイプ」や「W発電タイプ」が用意されており、住まい手の要望に応える形を取る。
トヨタホームは4月28日からスマートハウスの新商品「シンセ・フィーラス」を発売した。昨年から販売しているスマートハウスの技術に同社オリジナルの低価格全館空調”スマート・エアーズ”を加えており、これによってフロアごとの温度管理を行い、同社の従来商品に比べ約30%の電気代の低減を実現している。
他にも、自然の恵みである太陽光や通風、雨水、地下水などを活かしたスマートハウス「ひふみ」を販売しているアキュラホームの住宅も1000万円台で買える個性的な商品として注目を集めている。
同商品は、太陽光の陽(ひ)、風(ふ)、水(み)を合わせたネーミングのように、エコハウスの機能として自然環境を利用した省エネを実現しているが、中でも井戸の設置採用に関しては、他にはない独自の企画として、非常用水や夏の内水への活用をはじめ様々な用途で運用が期待されている。これらの機能にスマートハウス本来の目的であるエネルギー最適利用が加わり、光熱費年間プラス5万円の収支を実現させることも可能だ。
スマートハウス市場は活況の兆しを見せ始めた。いかに住まい手の満足度を意識し、商品開発に結び付けるのか、ハウスメーカーの競争はますます激化しそうだ。