旭化成が、米国の救命救急医療機器大手であるゾール・メディカル社の発行済普通株式に関し、同社の米国子会社による株式公開買付けが成立したと発表。応募株式総数は発行済株式総数の約93.82%で、発行済株式総数の3分の2以上としていた下限応募株式数を超えたため、全ての応募株式について買付を行うこととなる。
3月12日にゾール・メディカル社との買収に関する合意を発表し、3月26日から実施されていた今回の買収。当初の発表ではゾール・メディカル社の発行済普通株式の総数を総額約22.1億米ドルで取得するとされていたが、実際に応募された株式の買付けに要する資金は、約19.45億米ドルになる。
今後、初期公開買付け期間終了前に応募しなかった株主に対して、引き続き株式の応募の機会を提供する期間を4月23日から4月25日に設定し、ゾール・メディカル社株式の応募受付けを継続。その後、買収目的で設立された子会社を消滅会社、ゾール・メディカル社を存続会社とする略式合併を行い、100%連結子会社とする予定。
グローバルインフォメーションによると、2002年から2010年の年間成長率が5%と堅調に推移している救命救急医療市場。2010年以降2017年までに2.8%と緩やとはいえ確実に成長し、13億7240万ドルに達すると予想されている。そうした中、年平均成長率16.0%と高成長を続けており、救急機関向け基幹システムでも米国最大手であるゾール・メディカル社を連結子会社化することで、この成長を加速させ、世界の医療機器市場をけん引する米国に強固な基盤を築くことができるのか。旭化成は、2006年から2010年までの中期経営計画で掲げた数値目標や計画・成長への布石が未達となっている。新たな中期経営計画で掲げる2015年に売上高2兆円、2020年には売上高2.5兆円から3兆円とする目標は達成できるのか。今回の買収後の経緯が、その計画が現実のもとのなるのか否かの一つの指標となるのかもしれない。