「からくり改善くふう展」に見る日本の製造現場における“工夫”……住友理工の場合

2016年10月08日 19:57

 公益社団法人日本プラントメンテナンス協会が1993年から開催している「からくり改善くふう展」(後援:経済産業省)が先般、パシフィコ横浜で開催された。国内企業各社の製造現場における「余計な金をかけず、創造性に優れた、たのしい作業改善」の実例を展示し、各社解説員の極めて具体的な解説を受けながら「からくり改善のくふう」が見られる見本市だ。

 また「からくり改善」は、日本のモノづくりを下支えする技術として、LCA(ロー・コスト・オートメーション)への有効な“カイゼン”作業として近年注目を集める。海外からの注目も高まっている。

 住友理工は、この展示会に昨年から参加した企業だ。昨年、社内に「からくり基地」と称する“からくり改善に取り組む社員なら誰でも活用出来る場所”を開設し、本年は “からくり改善の目的”“基礎知識、技能習得”“現場改善の活性化”をめざして座学+実技指導を行なう2日間の社員研修「からくり改善道場」をスタートさせた。

 ここで紹介する住友理工は、愛知県小牧市に本店本拠を置く高機能ゴムや樹脂製品を製造する住友グループの企業で、自動車用防振ゴムでは世界トップシェア・自動車用ホース分野では国内トップシェアを誇る。近年、自動車部門だけでなく住宅関連や健康介護分野にも進出する。

 今回の「からくり改善くふう展」に同社は6つの“工夫”を展示。工夫の内容は、押し並べて「作業員の安全確保」と「作業の容易さ向上」を標榜する“からくり”を内包していた。

 なかで「吊り吊りパニック!」(写真)と見出しの付いた道具は、溶剤などの入った容器の重さ12kgの鋳鉄の容器蓋を不自然な姿勢で持ち上げて開ける作業で従業員をフォローする道具だ。動滑車を活用して、12kgの蓋をわずか2kgの力で簡単に持ち上げ、作業員の腰痛などの労働災害を防止する装置だ。

 同社が紹介した6つの“工夫”は、2年目にして既に現場で活用・活性化が進んでいる。作業の効率化・改善指向が装置の工夫につながり「道具」として、まさに止揚しているといえる。(編集担当:吉田恒)