「高すぎて買えない」?生鮮食品の摂取量と「健康格差」

2013年02月10日 15:27

 野菜や果物など生鮮食品の摂取量が減り続けている。その理由は「価格が高いから」――。

 厚生労働省の「平成23年 国民健康・栄養調査結果の概要」 によると、成人の野菜類、果物類、魚介類の摂取量は10年前と比べて減少する一方、肉類は増加していた。
 
 さらに、日常的に生鮮食品を入手している人に「この1年間に生鮮食品の入手を控えた理由」を尋ねたところ、「価格が高い」とした人の割合が3割に達した。中でも20代は42.9%、30代と40代では50%近い人が「生鮮食品の価格が高いから入手を控えた」と回答している。10年前と比べ平均世帯年収が50万円近く減少する中、生鮮食品の価格を「高い」と感じる消費者が増えているということだろう。
 
 世帯年収別で見ると、男性では年収600万円以上の世帯よりも、それ以下の世帯で野菜類の摂取量が少なくなっている。女性については世帯年収と野菜の摂取量に差はなかったが、果物類は男女とも年収200万円未満の世帯で少ない。

 一般的に外食するよりも自炊した方が食費は安くなるといわれるが、バランス良い食事を作るために魚介類や果物を購入すると、思ったよりも費用がかかる。スーパーの店頭などでは昨年末から野菜の価格が高騰しており、例年より30~40%も高くなっているという。世帯年収が全体的に低下する中、低所得層にとってはますます野菜を入手する機会が減る可能性もある。

 生鮮食品の価格を「高い」と感じる人が増えているというデータは、健康に気を配ったバランスの良い食事が、生活に余裕のある高所得層の「特権」となる可能性を示唆している。厚労省の別の調査では、年収600万円以上の世帯と比べ、年収200万円未満、200万円以上~600万円未満の世帯では、女性の肥満者、朝食欠食者、運動習慣のない者、喫煙者の割合が高く、野菜の摂取量が少ないという結果が出ている 。このように、収入格差が拡大すると同時に「健康格差」も拡大していくことの重要性は、もっと指摘されるべきだろう。