特別養護老人ホーム」では特に減少率が大きく新設法人が43社で、前年の112社から64.8%減となったほか、「認知症老人グループホーム」では11社(前年の25社から56.0%減)、養護老人ホームやケアハウスなどを含む「その他の老人福祉・介護事業」では64社(前年の126社から49.2%減)となった。
老人福祉・介護事業で新しく設立された法人(新設法人)の減少が目立っている。東京商工リサーチによれば、老人福祉・介護事業の2015年1-12月の新設法人は、前年比で7業種のうち6業種で減少したとのこと。「特別養護老人ホーム」では特に減少率が大きく新設法人が43社で、前年の112社から64.8%減となったほか、「認知症老人グループホーム」では11社(前年の25社から56.0%減)、養護老人ホームやケアハウスなどを含む「その他の老人福祉・介護事業」では64社(前年の126社から49.2%減)となった。減少した6業種のうち、「有料老人ホーム」以外の5業種で減少率が拡大している。
地区別にみると、14年には10.1%増で増加率トップだった四国は、29.2%減(130→92社)と減少率トップに、それ以外の地区でも東北で27.5%減(218→158社)、関東で18.1%減(1093→895社)、中国で15.2%減(164→139社)、北陸で14.8%減(47→40社)とすべての地区で前年を下回った。都道府県別では、増加が10県、減少が35都道府県、同数2県だった。新設法人数トップは、5年連続で大阪府の436社となったものの前年比では11.0%減となっている。
新設法人が減少している背景には過当競争や介護報酬改定がある。16年1~9月の老人福祉・介護事業の倒産累計は77件に達し、既に過去最多となる15年の76件を上回っている。倒産の原因では販売不振が51件となり前年同期の25件の2倍以上だ。15年4月より介護報酬は2.27%のマイナス改定が施行され、経営基盤の弱い小規模事業者や新規参入業者が経営してくには厳しい状況となっている。地域によっては介護事業所の総量規制が行われているところもあり、国は介護事業所の淘汰を促すとともに全体量が増えすぎないようにコントロールしている。
ニチイやベネッセといった既存の大手以外にも、ワタミや損保ジャパン日本興亜などが介護業界に参入しており、財源不足のなか、介護報酬のマイナス改定後も利益を上げつつ経営の効率化と質の高い介護が提供できる介護事業者のみが生き残っていくことができる状況だ。介護報酬の抑制は今後の改訂でも実施されると見込まれており、新設法人の減少は今後も継続すると予想される。(編集担当:久保田雄城)