矢野経済研究所の調べによれば、2015年度の国内の介護食市場規模は、加工食品がメーカー出荷金額ベースで前年度比103.7%の991億円、調理品では末端売上高ベースで前年度比101.6%の4942億円となった。介護食市場の内訳については、調理品では高齢者施設での調理による給食の割合が最も高く、次いで病院での給食が高かった。
高齢化を背景に、一般的な食事が摂れない高齢者向けの嚥下食や咀嚼困難者食、濃厚流動食、栄養補給食品などの介護食へのニーズが高まり、介護食市場は拡大の一途をたどっている。矢野経済研究所の調べによれば、2015年度の国内の介護食市場規模は、加工食品がメーカー出荷金額ベースで前年度比103.7%の991億円、調理品では末端売上高ベースで前年度比101.6%の4942億円となった。介護食市場の内訳については、調理品では高齢者施設での調理による給食の割合が最も高く、次いで病院での給食が高かった。加工食品では、濃厚流動食の割合が最も高く、次いで嚥下食の割合が高かった。
介護食含む高齢者向け食品・食事提供への顕在的・潜在的ニーズは今後も高まると予想される。農林水産省委託により、14年に実施された「高齢者向け食品・食事提供サービス等実態調査事業」では、要支援・要介護の高齢者や元気な高齢者での食品・食事提供サービスに対するニーズを調査している。高齢者向け食品・食事提供サービスの利用状況についてみると、元気な高齢者では、食材宅配サービスを除いた高齢者向け食品・食事提供サービスはほとんど利用されておらず、利用検討者を合わせて1割に満たなかった。一方、要支援・要介護高齢者においては、利用検討も含めて約2割でのニーズがあり、介護食品では9.0%で利用されていた。また、要介護度4及び要介護度5での介護食品の利用割合は2割以上(要介護度4:22.9%、要介護度5:34.0%)と高い割合を示した。高齢者向け食品・食事提供サービスの利用決定者では、本人が利用を決定しているのは2~3割程度で、主な利用決定者は配偶者、もしくは子どもとなっている。介護食品の利用理由について、最も割合が高くなったのは「咀嚼や嚥下(飲み込み)に困難を感じているから」の50.0%。次いで「調理の手間が省けるから」(33.9%)、「病院や介護事業所などで勧められたから」(33.9%)の順となった。
元気な高齢者では、高齢者向け食品・食事提供サービスに対する強い抵抗感を持っている高齢者も一定数存在し、介護が必要になるまでは、高齢者向け食品・食事提供サービスの利用は検討したくないと考えている人が多い。しかし、元気な高齢者のなかにも将来的に低栄養状態や生活機能の低下に陥るリスクの高い状態の人が一定数存在し、後期高齢者人口の増加に伴う介護食市場の拡大は必然だ。(編集担当:久保田雄城)