9月の全国企業倒産は件数が650件、負債総額は853億2,000万円

2016年10月19日 06:51

 東京商工リサーチによると、2016年9月度の全国企業倒産(負債額1,000万円以上)は、件数が650件、負債総額は853億2,000万円だったという。倒産件数は、前年同月比3.4%減(23件減)で、2カ月ぶりに前年同月を下回った。今年最少で、9月としては1990年(531件)以来の低水準にとどまった。依然として金融機関が中小企業のリスケ要請に対応しているほか、財務内容に改善の兆しがみえる企業への貸出増も追い風になっているとみられるとしている。

 負債総額は、前年同月比68.5%減(1,855億7,800万円減)で3カ月ぶりに前年同月を下回った。今年最少規模になり、月次の負債総額が1,000億円を割り込んだのは2015年8月(978億9,600万円)以来1年1カ月ぶりの低水準。負債10億円以上の大型倒産が今年最少の12件(前年同月15件)にとどまったのに対し、1億円未満が480件(構成比73.8%)と全体の7割を占めて、依然として小規模な倒産が過半を占める状況に変化がないとしている。

 2016年9月の産業別倒産件数は、10産業のうち6産業で前年同月を下回った。こうしたなか、飲食業や老人福祉・介護事業などを含むサービス業他は176件(前年同月比4.1%増)で、2カ月連続で前年同月を上回った。また。不動産業が25件(同13.6%増)で4カ月連続、製造業97件(同4.3%増)で2カ月連続で増加し、農・林・漁・鉱業が6件(同50.0%増)で2カ月ぶりに前年同月を上回った。

 一方、小売業は97件(同3.0%減)で4カ月ぶりに前年同月を下回ったが、内訳では、中古車自動車小売業(5→9件)や洋品雑貨・小間物小売業(2→6件)などで増加した。

 このほか、情報通信業は26件(前年同月比3.7%減)で4カ月連続、運輸業が18件(同40.0%減)で2カ月連続、建設業122件(同8.9%減)と卸売業78件(同11.3%減)がともに2カ月ぶりに前年同月を下回った。金融・保険業は5件(前年同月6件)だった。

 2016年9月の地区別件数は、9地区のうち4地区で前年同月を上回り、2地区で前年同月同数だった。増加は中国が35件(前年同月比2.9%増)で5カ月連続の増加。東北は28件(同40.0%増)で3カ月連続、近畿182件(同9.6%増)と北陸13件(同44.4%増)はともに2カ月連続で前年同月を上回った。各地区の産業別では、中国が建設業(10→13件)、東北が飲食業や老人福祉・介護事業などのサービス業他(1→9件)、近畿は製造業(17→25件)と建設業(26→31件)、北陸はサービス業他(2→6件)などで件数を押し上げたとしている。

 この一方、九州が46件(前年同月比19.2%減)で2カ月連続の減少、中部は85件(同15.0%減)で5カ月ぶりの減少、関東が229件(同10.1%減)で2カ月ぶりの減少だった。このほか、北海道が前年同月同数の22件、四国が前年同月同数の10件だった。

 また、自動車部品、携帯電話アクセサリー販売を手掛けていたスプラッシュ(TSR企業コード:310918464、埼玉県、売掛金等回収難)は、2015年春頃から中国企業に対して売掛金の回収遅延が発生し、資金繰りが悪化。経営者の死去も重なり、8月30日にさいたま地裁川越支部から破産開始決定を受けた。負債総額は6億8,000万円だった。(編集担当:慶尾六郎)