未来のメダリストを発掘、マイナースポーツを支援する試み

2013年02月12日 09:22

190   週末記事(マイナースポーツ)_e

2020年の東京オリンピック誘致活動も本格化する中、マイナー競技に取り組む有望なアスリートを支援するプロジェクトも動き出している。

 2011年に開催されたワールドカップの優勝で一気にメジャーな存在となった女子サッカー。それまではJリーグで安定した人気を誇る男子サッカーの存在に隠れ、同じスポーツでありながら大きな差があった。

 しかし昨年のロンドンオリンピックでの銀メダルを獲得した事でなでしこリーグに参戦しているチームにも少しずつだがスポンサーが付くようになっている。もちろんJリーグのように、サッカーだけに専念できるよう全選手とプロ契約を結んでいるチームはアイナック神戸レオネッサなどまだごく僅かだが、人気選手はコマーシャル契約が決まるなど、その人気、認知度は確立しつつあるようだ。

 だが国内にはまだまだマイナーだが見ごたえのあるスポーツは数多くあり、それらはスポンサーがつかないため、活動資金に困窮しているというのが現状だ。昨年8月、マイナースポーツのアスリートを支援する企画「マルハンワールドチャレンジャーズ」の第2回目が開催された。このイベントは、マイナー競技で頑張るアスリートにオーディション形式で活動資金を与えるというもの。冠スポンサーはマルハンで、昨年、参加した選手の中にはロンドン五輪に出場を果たしたトランポリンの伊藤正樹選手、近代五種の黒須成美選手、射撃の小西ゆかり選手もいる。

 今回は657人の応募から14人が最終選考に残ったという。午前中に1人5分の自己プレゼンテーション、昼食時間帯は来場者がアスリートと自由に交流の場を持つことができ、午後はMCと14人のトーク、そしてアスリート達が最後に1分間アピールをする。
 
 スポーツの選手といえば男子サッカーやプロ野球選手などの華やかな印象が大きいが、注目が少なく活動資金不足で満足に競技に取り組むことができない競技が多いことも事実だ。資金難が故、才能を開花させることなく引退してしまう選手も多い。さらに、マイナー競技であるため、その資金難すらアピールする場がないのも深刻な事実だ。そうした選手たちに、PRの場を与えるとともに競技資金を提供することで支援しようという試みがこの「ワールドチャレンジャーズ」なのである。

 審査はスポーツジャーナリストの二宮清純氏、ラグビー日本代表だった大畑大介氏、元サッカー女子日本代表の川上直子氏などの審査員や来場者の投票により行われ、300万円、次いで200万円、100万円と、総額1500万円の資金が提供される。今回は自転車ロードレースの小橋勇利選手が300万円の協賛を得たほか、ハンググライダーの鈴木由路選手やアームレスリングの山本祐揮選手などが協賛を獲得している。

 アーチェリーやバトミントンなども、オリンピック直後は話題となり、各企業が注目したり、国内大会の観客動員数も一時的に伸びるが、ブームで終わってしまい、その後、存在感は影を潜めてしまう。メジャースポーツでも、長引く不況によりスポンサー離れが深刻化している現在だが、オリンピックやワールドカップでの日本勢の活躍が、国内の活力になったことも事実だ。来年にはソチ冬季オリンピックも開催され、2020年の東京オリンピック誘致活動も本格化している。前述のマルハンのように、社会的活動の一環として、多くの企業や団体が、スポーツという大きな捉え方で様々な支援を行い盛り上げることに期待したい。(編集担当:宮園奈美)