新日本製鉄が基礎構造向け鋼矢板が鉄道総研での支持力性状評価を取得

2012年04月13日 11:00

 新日本製鉄が、同社の開発した基礎構造向け鋼矢板(先端加工鋼矢板)が公益財団法人鉄道総合技術研究所での支持力性状評価を取得したと発表。支持杭の機能をあわせ持つ新たな鋼矢板として、鉄道橋の基礎への利用をはじめ、道路・建築構造物の基礎への利用も進めていくとのこと。

 従来、河川護岸や掘削土留めなどに利用されている鋼矢板。しかし鋼矢板は、大きな支持力が発揮出来ないことや設計に用いるための支持力評価がされていなかったことから、構造物を支持する基礎への適用は限定されていた。今回開発された先端加工鋼矢板は、端部に閉塞断面を有することで支持力の問題を解決。地盤中に深く打ち込む際に閉塞断面内に土砂が詰まり、その断面部を支持層に到達させることで、従来の鋼矢板では不可能であった大きな支持力を発現するという。この先端加工鋼矢板を利用することで、工期短縮及び建設コスト縮減が可能となり、また、大きな施工機を必要としないため、都市部等の施工スペースの制約がある工事にも対応できるとのこと。

 世界の鋼材需要が拡大している一方、国内需要は停滞し、外需に大きく依存する傾向が強まっている日本の鉄鋼業。東南アジア諸国からの供給が増大し競争が激化、原料価格の高騰もあって、新日本製鉄も先の第3四半期決算で12億円の純損失を計上している。今回、支持力性状評価を取得した先端加工鋼矢板は、この損失を埋めるような商材となりうるであろか。住友金属工業との経営統合への弾みとなるものになることを期待したい。