町民みんなが観光大使!?多様化する「地域おこし」

2016年11月23日 11:08

画:町民みんなが観光大使!?多様化する「地域おこし」

阿蘇山や阿蘇ジオパークのほか、温泉も豊富な阿蘇市。酪農も盛んで、乳製品も名産だ。熊本県内の他地域に比べて観光客数が群を抜いて多く、年間で1600万人ほどが訪れる。震災で打撃を受けた熊本の観光を牽引できるか、注目される。

 おでかけプラン検索アプリを提供するホリデーが、今月から熊本県の阿蘇地域と連携して周遊促進事業を開始した。阿蘇の5つの市町村(阿蘇市・南小国町・小国町・高森町・南阿蘇村)と共に地域全体の魅力を再発見し、地元住民ひとりひとりが観光大使となって周遊プランを外部に発信していく。取り組みは来年1月10日で一区切りして、終了後には結果報告も兼ねた記者会見を実施する予定だ。 

 具体的には地元住民らを対象に地元の魅力を再発見するワークショップを開催し、参加者にHolidayアプリを使って複数のスポットを組み合わせて回る周遊観光プランを作成してもらう。ホリデーは2015年に休日のおでかけを楽しくするというコンセプトのもと、「Holiday」というアプリを作成。このアプリを活かして地元の魅力を再発見しようと30都道府県で76回のワークショップを開催してきた。76回のうち10回は熊本県内で実施されており、今までに180人が参加している。同社は「今回の阿蘇地域での取組を皮切りに、今後は阿蘇地域だけにとどまらず他地域でも取組んでいく」としている。

 地元に住む人自らが地域おこしプランを考え、実行する動きは各地で広がっている。愛媛県八幡浜市では地元高校の商業研究部が訪問ルートから考えた手作りツアーを企画。JR四国に売り込んで主催を得た。生徒自らがボランティアガイドも務めたというからその行動力には驚かされる。長野県松代町では、地元の若手有志が調理できる移動販売車「キッチンカー」を独自に制作。松代城跡や寺町商家といった観光地で地元農産物を使った手作りの料理を販売するプロジェクトが始動している。

 「周遊」プランに限っても事例は豊富だ。和歌山県の串本町では地域おこし協力隊が「コスプレ撮影ロケin串本」を企画。アニメなどのキャラクターに扮した観光客が町内の古民家や商店街などで写真を撮りながら周遊してもらうアイディアを形にしている。栃木県の足利市では江戸時代の浮世絵師・葛飾北斎の同市での足跡をたどる「北斎ハイキング」を地元の市民団体が企画。作品の題材となった寺や山をめぐるツアーを計画している。
 
 阿蘇住民から出たアイディアがこれらに続く成功例となるか。まずは1月の結果報告に期待したい。(編集担当:久保田雄城)