富士通と会津大学、復興支援で連携、サービス・サイエンス講座開講

2012年04月12日 11:00

 会津大学と富士通が、東日本大震災からの中長期的な復興に向けた支援のための連携協力基本協定を締結したと発表。連携第一弾として、4月から3年間、ITを利活用したイノベーションを促進する人材の育成として「サービス・サイエンス」講座を開講するとのこと。

 会津大学は、地域経済社会の再構築と福島県を起点とした日本の産業活性化に貢献するため、2012年1月の「会津大学復興支援センター(仮称)」構想発表以降、富士通などのIT関連企業と雇用創出としてIT人材などの育成や新たな産業創出、産業集積に向けた取り組みを進めていた。今回の連携では、富士通と双方の強みを活かし、人材育成、スマートコミュニティ構築を目指した実証研究の推進、クラウドセンター活用などIT分野で連携を進めながらイノベーションを促進するという。

 具体策として、富士通がイノベーションを起こす人材の育成「サービス・サイエンス」教育講座を開設。サービス・サイエンスとは、従来、経験と勘で行われがちだったサービスを情報(根拠)に基づくサービスに変えるために、人とビジネスプロセスとITの知識を融合させてお客様の満足度(付加価値)を高め、効率を上げることで、サービス分野でのイノベーションを生み出すための考え方。この講義を通じ、将来、国内外においてITを利活用した新たな産業・事業を創出する人材の育成を、富士通が企業視点から支援する。

 また、富士通が会津地域をモデルに昨年度実施し会津大学も参画している、経済産業省「スマートコミュニティ構想普及支援事業」における調査事業も継続し、スマートコミュニティの構築を目指した実証研究の推進。さらに、会津大学が計画する「先端ITクラウドセンター(仮称)」に対し、富士通 がこれまで培ってきた高信頼・高セキュリティかつ省エネデータセンター構築の実績・技術を活かし、人材育成、実証研究を推進するための環境構築を共同で取り組んでいくことも検討する。

 今回のような被災地域での連携・支援は、震災被災地の復興だけでなく、日本全体を伸長させるバネとなる可能性も含んでいる。独立行政法人科学技術振興機構の産学官連携データブックによると、平成21年度に微減したものの、平成22年度には回復、共同研究数は過去最高となり、総額も314億円になるという。復興支援と言う意味も持たせた場合、この数字はまだまだ少ないと言えるのではないだろうか。「連携」ではなく、「一体」となった取り組みが求められるのかもしれない。