シャープ・凸版印刷・大日本印刷が、凸版印刷及びトッパンエレクトロニクスプロダクツ並びに大日本印刷及びDNPカラーテクノ堺の堺工場における液晶カラーフィルターの製造に関する事業を、シャープの子会社であるシャープディスプレイプロダクト(SDP)に統合させることについて、基本合意書を締結したと発表。大型液晶事業の一層の効率化を図り、同事業の競争力強化を目指す。
SDP(堺工場)は平成21年10月より稼動を開始した世界で唯一の第10世代液晶工場。液晶パネルの部材メーカーだけでなく、電気、ガスや水といったインフラ・エネルギーメーカーが堺工場に集まり、部材から液晶パネルまでの一貫生産を実現、液晶パネル生産の垂直統合化が進んでいる。一方で、円高基調の恒常化やデジタル商品の熾烈な競争激化による市場価格の下落など、環境の厳しさが日ごとに深刻化している。こうした中、シャープは、先日も鴻海精密工業グループと資本業務提携契約を締結。SDPで生産する液晶パネル・モジュールを、鴻海精密工業とシャープがそれぞれ50%ずつ引き取ることにより、SDPの高い稼動率維持及びコスト力強化と収益性改善を図っている現状にある。そこに加え、今回の統合により、液晶パネルの主要部材であるカラーフィルターも含めた大型液晶事業の一層の効率化を図り、更なる競争力強化を図っていくとのこと。
大日本印刷の第三四半期決算で、エレクトロニクス部門の対前年比減をもたらした液晶カラーフィルターの減少。凸版印刷の大型サイズディスプレイも前年比減。シャープに至っては、2月1日に発表した業績予想を、売上高で1000億円もの下方修正。純利益も2900億円の赤字から3800億円の赤字へと大幅な下方修正がなされるなど、底の見えない不振にあえいでいる。勢いを増す韓国勢と好対照とも言える現状を打破する切っ掛けはどこにあるのか。もはや、事業の効率化だけで起死回生を図るのは厳しいのではないだろうか。今回の統合が、単なる効率化による競争力強化ではなく、競争力を持った新しい何かを生みだすものとなることを期待したい。