JX日鉱日石金属(JX)が、JX金属敦賀リサイクル(敦賀リサイクル)の構内にLiBリサイクル設備などを竣工させたと発表。これらの設備は、経済産業省の希少金属利用産業等高度化等推進費補助金(レアアース等利用産業等設備導入事業)の交付の対象となっており、また三徳も、敦賀リサイクル敷地内に、モーター用磁石に使用されるジスプロシウムやネオジム等のレアアースを回収する工場を竣工するとのこと。
今回竣工される設備は、使用済みリチウムイオン電池等からのレアメタルリサイクル設備(LiBリサイクル設備)、使用済み小型家電等処理設備(定置炉)の能力増強及び、レアメタル含有汚泥からのレアメタル(インジウム・コバルト)リサイクル設備(In・Coリサイクル設備)。
2010年4月より、経済産業省の委託事業である「使用済みリチウムイオン電池等からコバルト、ニッケル、マンガンおよびリチウムを回収する実証化試験」を実施していたJX日鉱日石金属。その結果を基にLiBリサイクル設備を新設する。また定置炉に関しては、リサイクル量を増加させるために2基の定置炉を導入し、それらから排出される排ガス・排水の処理設備を導入するという。さらにIn・Coリサイクル設備では、現在は産業廃棄物として処理されている電子材料の製造工程から発生する排水汚泥に含まれているレアメタルを回収する。
各種電子部品に利用され、需要が高まっているレアメタル。一方で、確認されている埋蔵量が少なく、単独の鉱物としての採掘が困難、さらに、環境問題により鉱山開発が困難な上に、埋蔵鉱量と生産が特定の国に集中している等の理由で供給量が少なく、その価格が高騰しているという。日本の商社などがその安定供給に向けて尽力はしているが、輸入に頼らざるを得ない状況で、その安定性には限界があると言えるであろう。レアメタルが欠かせない半導体などの製造業は、日本経済の主軸とも言える。その為、レアメタルに関しては、環境問題対策としてのニーズ以上に、資源確保のために、循環システムの構築が急務と言えるのではないだろうか。