米国のシリコンバレーを拠点とする自動車メーカー、テスラモーターズが自社サイト上で完全自動運転のデモンストレーション動画を公開した。同社が目指す自動車の未来がこの動画から見て取れる。
動画のストーリーはテスラ社駐車場から出発し、市街地から郊外へ、そしてまた市街地に入り、同社に戻って駐車するという設定。道中にはもちろん他車や歩行者が通行し、信号や一時停止標識といった交通規制もあり、リアルな道路状況を再現している。
動画は運転席と走行風景を捉えた車載動画と、車両左後方・前方・右後方のワイプ画面の4分割で構成。ワイプ画面には、自動運転システムが物体をどのように認識しているかを枠で表示している。建物や駐車車両といった「物体」と、対向車や前走車、歩行者といった「移動経路上の物体」、そして車線や信号機、道路標識も認識され、信号機や標識はその内容まで認識される。
動画内ではドライバーはハンドルを握らず、アクセルやブレーキにも足を置いていない。ハンドルが自動で回され、ひとりでに自動車が発進していく。まず一時停止の標識では完全一時停止をし、他車の通行が途切れるまで待ってから発進。信号も認識していることに驚かされる。そして混雑する市街地では前走車との車間距離を保ち、状況に応じてアクセルとブレーキで速度を制御。更に歩行者の横を通過する際には一定の距離を空けて徐行するなど、人間が行っている運転とほぼ同じ動きをしている。前に入り込んだ車や、一時停止中に横をすり抜ける自転車等、急な事態にも適切に対処。そして動画の最後には人間が行なってもなかなか難しい縦列駐車をいとも簡単に行なう。
現在でもアクセルやブレーキ操作を補助するクルーズコントロールや、車線に沿った走行を補助する車線逸脱防止支援システムなどが普及しつつあるが、今回公開された動画はその最終形態である、ドライバーが関与しない完全自動運転をデモンストレーションしている。
国内でも日産<7201>が2020年には一般道での自動運転実現を、ホンダ<7267>も2020年までに高速道路での自動運転の実現を目指しており、各メーカーが開発にしのぎを削っている。今回の動画のような完全自動運転を実際に体験できる日が来るのが楽しみだ。(編集担当:久保田雄城)