【今週の振り返り】OPEC総会も経済指標も味方し44円上昇した週

2016年12月03日 20:21

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アメリカの経済指標は良好なものばかり。OPEC総会は予想をくつがえす減産合意。中国も日本も経済指標が足を引っ張らず、懸念したリスクが、どんどん後退した。

 30日の日経平均は3営業日ぶりの小幅反発。11月のドイツの消費者物価指数(HCPI)速報値はEU基準横ばいで市場予測を下回ったが、ECBが4日の国民投票後のイタリア国債の買い支え方針を示しユーロ圏の株価は上昇。ロンドンは下落。OPEC定例総会を目前に原油先物市場は最大4%の大幅下落で終値45ドル台。しかしアメリカの7~9月期のGDP改定値は個人消費に後押しされて速報値から0.3ポイント上方修正され年率換算+3.2%、9月のケース・シラー住宅価格指数は過去最高値、CB消費者信頼感指数は雇用が好調で所得不安が後退し100を超えて2007年以来の高水準と経済指標が軒並み良かったことと、ユナイテッド・ヘルスG、ティファニーが好決算を発表するなど企業決算も良かったためNYダウ終値は23ドル高と反発した。NASDAQ、S&P500ともども小幅プラス。アメリカの長期金利が低下し朝方の為替レートはドル円が112円台前半、ユーロ円が119円台後半。大阪夜間取引終値は18380円、CME先物清算値は18355円。

 日経平均始値は48円高の18356円。高値は9時06分の18370円。安値は2時47分の18280円。終値は1.44円高の18308円。取引時間前に10月の鉱工業生産指数速報値が発表され、+0.1%で市場予測と同じ。基調判断は「緩やかな持ち直しの動き」で据え置き。直前に為替が円安方向に振れたので日経平均もTOPIXも反発スタート。日経平均はCME清算値にさや寄せする。しかし序盤は為替レートの円高が急進すると一時マイナスになり18300円も割り込む。鉄鋼セクターが大幅安。だがドル円は112円付近で円安方向に反転し、日経平均も18340円付近まで反発した。仕掛け売りは作戦失敗だったが、〃ヒット・エンド・ランのゲリラ攻撃〃が10時前にももう一度あり、プラス圏ながら安定しない。

 それでも10時台になると為替レートは安定を取り戻し、日経平均も18300円台前半でほぼ安定する。OPECの定例総会で「減産合意できないかもしれない症候群」、イタリアの国民投票で「レンツィ首相が退陣するかもしれない症候群」といった「漠然とした不安」にさいなまれ、上値が追えない。11時前に三たび仕掛け売りの下落局面があったが18300円を割らせずにかわす。11時台は18300円台前半を保って22円高で前引け。TOPIXもプラスなので日銀のETF買いの可能性はなくなった。

 昼休みの正午に発表された10月の建設機械出荷額は-5.3%。後場は前引けよりも約10円高く再開するが、ストンと下落してマイナスに。ドル円は112円台後半なので為替以外の要因。1時台には安値を更新した後にプラスに戻る。1時に発表された10月の自動車生産・輸出実績は、生産は-3.95%で3ヵ月ぶりに減少、輸出は+1.7%で3ヵ月連続の増加。2時に発表された10月の新設住宅着工戸数は+13.7%で1年4ヵ月ぶりの高水準。2時台半ばまでプラス圏の18300円台前半を維持するが、終盤もまた波乱。マイナス圏に落ちて18300円を割り込んで安値を更新。月末なので手じまい売りも出ているかと思いきや、MSCIの銘柄入れ替えの影響で大引けでTOPIX、JPX日経400とともに小幅プラスに滑り込んだ。死語になったかと思われた「ドレッシング買い」も、しぶとく生き延びているのかもしれない。派手に乱高下したようで日中値幅は90円しかなかった。

 前日に東京マザーズに新規上場し初値がつかなかったエルテス<3967>に初値がついた。公開価格1790円の3.63倍の6510円。その後、ストップ高の人気ぶり。今週の新規IPOは全て「初値>公開価格」の白星で3連勝。新規IPOラッシュの12月に向けてはずみがついた。

 日経平均終値は1.44円高の18308.48円、TOPIX終値は+0.86の1469.43。売買高は26億株、売買代金は大引けの大商いで3兆2492億円。値上がり銘柄数は1065、値下がり銘柄数は791。プラスは17業種で、その上位は証券、ガラス・土石、水産・農林、建設、食料品、不動産など。マイナスは16業種で、その下位は鉄鋼、非鉄金属、鉱業、石油・石炭、医薬品、パルプ・紙など。上海総合指数は1.0%安だった。

 アメリカ大統領選挙というビッグイベントでビッグサプライズがあった11月の取引が全て終了した。10月31日の終値17425.02円から883.46円の上昇で、10月の上昇分と合わせると2ヵ月で日経平均は1858.64円、11.3%も上昇している。

 12月1日の日経平均は大幅続伸で終値の年初来高値更新。注目のウィーンのOPEC定例総会は「事前協議」が効いたのか、原油価格維持のために「小異を捨てて大同につく」8年ぶりの減産合意。サウジアラムコの株式公開を控えたサウジアラビアがイランに譲歩し、OPEC全体で日量120バレルの減産を行う。やればできるぞ産油国。「どうせまた物別れだろう」が大勢を占めていたマーケットにはサプライズで、前日45ドル台の原油先物市場(NYMEXのWTI価格)は一時10%を超える急騰を見せ、終値は49ドル台に。