【今週の振り返り】OPEC総会も経済指標も味方し44円上昇した週

2016年12月03日 20:21

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アメリカの経済指標は良好なものばかり。OPEC総会は予想をくつがえす減産合意。中国も日本も経済指標が足を引っ張らず、懸念したリスクが、どんどん後退した。

 11月28日の日経平均は8営業日ぶりの反落。前週末25日のアメリカの債券、為替、株式、商品市場は「ブラックフライデー」の短縮取引。NYダウ終値は68ドル高で4日連続史上最高値更新。卸売在庫も貿易収支も市場予測より悪くNY時間にドルが売られてドル円レートが一時112円台半ばになったが、その後113円近辺まで戻った。ユーロ円は一時120円にタッチして119円台後半。大阪先物夜間取引終値は18360円、CME先物清算値は18385円だった。28日朝方の為替レートはドル円が112円台後半、ユーロ円が119円台半ばで、ドル安円高方向に進んだ。

 日経平均始値は78円安の18302円。高値は2時57分の18374円。安値は11時9分の18222円。終値は24円安の18356円。9月にキューバを訪れた安倍首相と会談した革命の英雄、カストロ前国家評議会議長が25日に死去した。アメリカとは国交回復済みですでに「過去の人」なので、マーケットへの影響はなさそう。25日発表のGPIFの7~9月期の運用収支は2.3兆円の黒字。日経平均はその四半期に873.92円上昇した。10~12月は株高でも金利上昇=債券安で相殺されそう。

 日経平均の今週の取引はマイナスで始まり、開始直後18300円割れ。東京外為市場は円買いが進み、為替も株価も調整局面。序盤はマイナスでも18300円付近の値動きでしぶとい。自民党の竹下国対委員長が「カジノ法案審議入り」を示唆して関連銘柄が急騰。こっちもしぶとい。しかし10時前に18250円を割り込み安値を更新。10時台は18240~18290円の間でアップダウンするが、11時台はさらに安値更新。減産合意がなるかどうか不透明なOPEC総会を前に様子見ムードが出て、為替のドル円が112円台後半から111円台半ばまで前場だけで1円を超える急速なドル安円高では、円安で吊り上がった日経平均はとても逆らえない。前引けは146円安の18234円。TOPIXもマイナスで日銀のETF買いの条件を満たす。

 ドル円は111円台前半で反転して112円近くまで戻し、後場は前引けより30円ほど高く再開する。上海市場が高いのに影響されて下げ幅を圧縮し18300円を超え、日銀買いの影響が出やすいTOPIXは0時台のうちにプラスにタッチ。メガバンクが値を戻し、東京五輪の会場見直し問題についての東京都、IOCなどの話し合いがこれまで通り会場新設に有利な方向に進んでいると報じられ、建設関連銘柄も活気づいた。結論が出るのは29日。1時台も18300円台をほぼ維持するが依然マイナス圏。トランプ・ラリーのワルノリ相場もいよいよ年貢の納め時かと思いきや、終盤になると為替のドル円が112円台に完全に乗せ、日経平均も下げ幅をどんどん圧縮し、プラスまであと7円まで迫る。だが最後は力尽きて8営業日ぶりの反落。しかしTOPIX、JPX日経400はプラスで、昨年5月15日~6月1日の「破竹の12連騰」以来の12営業日続伸に到達した。「トランプ・ラリー特急」は、いまだに停まらない。後場、日銀は9日以来12営業日ぶりの706億円のETF買いを実施した。

 日経平均終値は24.33円安の18356.89円、TOPIX終値は+5.05の1469.58。売買高は21億株、売買代金は2兆3546億円。値上がり銘柄数は1343、値下がり銘柄数は534。プラスは24業種で、その上位は電気・ガス、銀行、建設、卸売、鉄鋼、情報・通信など。マイナスは9業種で、その下位は鉱業、精密機器、輸送用機器、海運、ガラス・土石、空運など。上海総合指数は0.46%高だった。

 29日の日経平均は続落。週末のイタリアの国民投票を懸念してヨーロッパ市場は全面安。11月のリスクはアメリカにあり、12月のリスクはヨーロッパにあり? 週明け「サイバーマンデー」のNYダウは54ドル安で5営業日ぶりの反落。NASDAQもS&P500もマイナス。OECDが世界成長見通しを引き上げ、ダラス連銀製造業景気指数は前月の-1.5から+10.2へ大幅改善し、原油先物も金先物も3営業日ぶりに反発したが、OPEC総会は結果が出るまでマーケットの不安要因。アメリカの長期金利が低下してドル高が一服し朝方の為替レートはドル円が112円台前半、ユーロ円が118円台後半。CME先物清算値は18280円。大阪夜間取引終値は18290円。

 日経平均始値は93円安の18263円。高値は2時43分の18327円。安値は9時40分の18258円。終値は49円安の18307円。取引開始前に政府発表の10月の経済指標がまとめて発表された。有効求人倍率は2ヵ月連続で改善し前月比で0.02ポイント上昇し1.40倍。1991年8月以来25年2ヵ月ぶりの高水準で市場予測より0.01ポイント高い。新規求人倍率は前月比+0.02ポイントの2.11倍、正社員の有効求人倍率は+0.01ポイントでも0.89倍で依然1倍割れ。完全失業率は3.0%で横ばいだが男性は悪化、女性は改善した。男はつらいよ。家計調査の二人以上世帯実質消費支出は市場予測の前年比-0.7%に対して-0.4%だったが、8ヵ月連続のマイナス。財布のヒモは依然固い。商業動態統計速報値の小売業販売額は前年同月比-0.1%。百貨店が悪くて全体の足を引っ張った。

 ドル円が111円台の円高進行を背景に日経平均は18300円を割り込んでスタート。2009年7~8月以来7年3ヵ月ぶりの13連騰の記録がかかるTOPIXもマイナスで始まる。序盤は18200円台後半で小動きし、18300円はタッチするだけ。それでも3ケタ安にはならない。10時台になると下げ渋って18300円台に乗せ高値更新。ドル円も112円台に乗せた。今年は寒波が早く来てインフルエンザの流行が早く始まり、鳥インフルエンザ発生の報道もあり関連銘柄が買われる。11時台も18300円台前半の値動きが続くがプラスに浮上できないまま34円安で前引け。TOPIX前引けは-0.19で、前日に続く日銀のETF買いが入るかどうかは、ちょっと微妙。

 後場はほぼ前引け水準で再開し、TOPIXはプラスにタッチするが0時台は下げ幅を拡大して18300円を割り込む。1時台もじりじり下がって安値を更新するが、2時台になるとすました顔で18300円台に戻る。今週は売られてもしぶとく反発するバネが効いているが、TOPIXはマイナスのままで13連騰危うし。2時30分、スキャンダルで窮地に陥った韓国の朴槿恵大統領が早期退陣を表明したニュースが流れ、韓国のKOSPI指数は急騰したが東京市場はとりたてて反応なし。それでも徐々に高値更新までいくが、プラスにはなれず大引け。日経平均は続落。TOPIX、JPX日経400は13営業日ぶりの反落。TOPIXは12連騰で12.9%の上昇だが、上がれば下がる、ということ。「トランプ・ラリー特急」が停車したが、これは「終点」なのか? それとも「途中駅」なのか? 日銀のETF買いは、この日は入らなかった。

 新規IPOが3件。横浜市が本社で3Dプリンター、砂型鋳造による試作品、各種部品・商品の製造、販売を行う「ものづくり企業」JMC<5704>が東証マザーズに新規上場。公開価格960円より89.1%高い1816円の初値がついた。情報漏えい、サイバーアタック、ネット上の風評被害、炎上などデジタルリスクの検知に特化し、ビッグデータ解析によるソリューション提供を行う広い意味でのサイバーセキュリティ企業、エルテス<3967>が東証マザーズに新規上場。大引けまでに初値がつかず、公開価格1790円の2.3倍の4120円の買い気配のまま終了した。神戸市が本社(東証の届出は東京)で、「ATAO KOBE」のブランドで主に女性向けのオリジナルのバッグ、財布などの企画・販売を行うスタジオアタオ<3550>が東証マザーズに新規上場。公開価格3030円より25.7%高い3810円の初値がついた。

 日経平均終値は49.85円安の18307.04円、TOPIX終値は-1.01の1468.57。売買高は19億株、売買代金は2兆3080億円。値上がり銘柄数は824、値下がり銘柄数は1020。プラスは12業種で、その上位は水産・農林、鉱業、化学工業、食料品、空運、不動産など。金属製品1業種がプラスマイナスゼロ。マイナスは20業種で、その下位は保険、鉄鋼、証券、ガラス・土石、その他金融、輸送用機器など。上海総合指数は0.18%高だった。