【今週の振り返り】TPP瓦解危機でも地震発生でも413円上昇の週

2016年11月26日 20:17

0205_009

トランプ次期大統領が政策を語り始め、最初に〃血祭り〃にあげたのはTPPだった。だが東京市場はスピードを少しゆるめても、「トランプ・ラリー特急」ノンストップ。

 21日の日経平均は4営業日続伸で終値18000円突破。前週末18日のNYダウは35ドル安で前日から「いってこい」の反落。アメリカの長期金利上昇で為替のドル円は一時111円に迫って110円台後半、ユーロ円は117円台前半。大阪夜間取引終値は18000円、CME先物清算値は18025円だった。ペルーの首都リマのAPEC首脳会合で、安倍首相はトランプ次期大統領が反対するTPPの重要性を強調。APECは反・保護貿易の立場を強調する共同声明を採択して閉幕した。しかし、安倍首相がロシアのプーチン大統領と会見し、北方領土交渉について「簡単ではない」と発言したニュースのほうが日本では大きく報じられた。21日朝方の為替レートはドル円が111円台近辺、ユーロ円が117円台半ばで、ドル円は5月31日以来の円安水準になっていた。

 日経平均始値は70円高の18038円。高値は2時29分の18129円。安値は9時18分の18007円。終値は138円高の18106円。週末は人的被害が出ない規模の地震が頻発した日本列島。取引開始前に10月の貿易統計が発表された。貿易収支は4961億円の黒字で、黒字は2ヵ月連続だが黒字額は市場予測を下回った。日経平均は18000円台に乗せて今週がスタートし、TOPIXもプラス。大台割れは起こさないが、9時台も10時台も頭を抑えられ18030~18060円の狭い値幅で動く。それでもTOPIXは、世界的な金利上昇で前週から長期金利(10年物国債利回り)がプラスに転じても金融、保険、不動産セクター中心に上値追い。「金利上昇は嫌気される」という固定観念をくつがえすほど、マイナス金利は評判が悪かったらしい。ドル円は111円を割り込んで大きく振れながら円高方向に向かうが、平均株価は11時すぎに3ケタ高の高値更新。それでもすぐに元のサヤにおさまって前引け。

 後場は再開直後に高値を更新して18100円に接近。1時台には18100円にタッチする。ドル円は再び111円台に乗せ、円安はゆるがない。2時に10月の全国スーパー売上高が発表され、既存店ベースでは前年比+0.6%で3ヵ月ぶりのプラス。台風ラッシュが過ぎて天候が安定した。2時台の日経平均は終盤さすがに18100円をはさんで上下に振れるが乱高下まではいかず、1月6日以来の18100円台で終えて4営業日続伸。TOPIXは8営業日続伸となった。

 18日の新規IPOで初日は初値がつかなかったフィル・カンパニー<3267>に初値がついた。公開価格1310円の3.05倍の4000円。資金吸収金額が小さい上に、耐震性を確保しながら駐車場の上に店舗やオフィスを建て、オーナーの土地を有効活用するという事業内容も投資家から好感された。

 日経平均終値は138.61円高の18106.02円、TOPIX終値は+14.47の1442.93。売買高は20億株で商いが薄くなった。平均株価が上がったので売買代金は2兆2867億円。値上がり銘柄数は1405、値下がり銘柄数は463。プラスは31業種で、その上位は鉱業、保険、不動産、海運、銀行、食料品など。マイナスは非鉄金属、鉄鋼の2業種。上海総合指数は0.79%高だった。

 22日の日経平均は5営業日続伸。フランスでは前日、サルコジ元大統領が大統領選挙の中道右派の予備選挙でまさかの敗北を喫し政界引退を表明。今年の教訓は「投票は、票が開くまでわからない」だ。来週末のイタリアの国民投票の結果を危惧しながらヨーロッパ市場は揃って上昇。ロシアのプーチン大統領が原油の生産調整に言及し原油先物価格が47ドル台まで大幅上昇し、エネルギーセクターを中心に買われ週明けのNYダウは反発し88ドル高で終値の過去最高値更新。NASDAQもS&P500も反発した。「マージャー・マンデー」で、情報セキュリティ分野でシマンテックがライフロック買収で合意というニュースあり。フィッシャーFRB副議長がNYで講演し、トランプ次期政権が金融規制を緩和すれば危機が発生する恐れがあると警告。現在の金利はいまだ歴史的な低水準にあるとし、マーケットは12月利上げを確実視した。しかし金先物は上昇、アメリカの長期金利は下落。大阪夜間取引終値は18100円。CME先物清算値は18030円。

 日本時間で5時59分に福島県沖を震源とする地震が発生し、福島県、宮城県に津波警報発令。為替のドル円は一時110円台半ばまで約1円も円高が進行したが、朝方は110円台後半、ユーロ円が117円台後半。

 日経平均始値は14円安の18091円。高値は2時17分の18175円。安値は9時26分の18050円。終値は56円高の18162円。円高進行で18000円を割って始まるかと思えば、意外な小幅安スタート。TOPIXは数分後にプラスに転換。その後を追って日経平均もプラスに変わり18100円を超える。原発は異常なし。東北地方の交通機関は午前中で通常通りに戻り、地震も津波も被害はそんなに大きくなかった。9時に9月の毎月勤労統計確報値が発表され、実質賃金は+0.8%で速報値から0.1ポイント低下。それでも8ヵ月連続のプラス。現金給与総額(名目賃金)は横ばいで速報値から0.2ポイント低下。9時台は18050円まで下げたかと思えば18120円を超える乱高下。いわゆる高値波乱。為替のドル円は110円台でじわじわ円高に進む。トランプ次期大統領が「就任当日にTPP脱退を通告する」という声明を発表すると自動車、電機など輸出関連銘柄が軟化し、10時台の日経平均はマイナスに沈む。弁慶の法衣の下から鎧がのぞく。それでも11時にはプラスに戻って高値を更新。そこからマイナスまで崩れ前引けは6.41円高だった。TOPIXもプラスで、日銀のETF買いは9日以来途絶えている。