【今週の振り返り】OPEC総会も経済指標も味方し44円上昇した週

2016年12月03日 20:21

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アメリカの経済指標は良好なものばかり。OPEC総会は予想をくつがえす減産合意。中国も日本も経済指標が足を引っ張らず、懸念したリスクが、どんどん後退した。

 ヨーロッパ市場は揃って上昇するがイタリアの国民投票を控え小幅高止まり。NYダウは午前中はザラ場ベースの史上最高値を更新したが、終盤に売り込まれ終値は1.98ドル高、NASDAQ、S&P500はマイナスだった。トランプ次期政権でウォール街からゴールドマンサックスのムニューチン氏が財務長官に起用されたニュースを好感。金融緩和論者で法人減税にも言及している。経済指標はADP雇用リポートが市場予測の+16.5万人を上回る+21.6万人、個人所得は+0.6%、個人消費支出は+0.3%、個人消費支出(PCE)物価指数は+0.1%で市場予測を下回ってもプラス。シカゴ購買部協会景気指数は57.6で市場予測を大きく上回った。地区連銀経済報告(ベージュブック)は「緩やかな拡大が続く」地区がほとんど。28日の「サイバーマンデー」のネット通販売上高は過去最高。好材料がこれだけ揃っても、マーケットでは古典的な下げ要因「インフレ・高金利懸念」の警戒心が頭をもたげたらしい。アメリカの長期金利は一時2.4%台まで上昇し朝方の為替レートはドル円が114円台前半、ユーロ円が121円台前半と、ドル高に加えリスクオンの円売り。金先物は続落。大阪夜間取引終値は18590円。CME先物清算値は18615円。

 日経平均始値は226円高の18535円。高値は11時14分の18746円。安値は2時34分の18469円。終値は204円高の18513円。ブラジルが利下げ。取引開始前に財務省から7~9月期の法人企業統計が発表された。ソフトウエアを除く全産業の設備投資額は+0.4%だが、金融、保険を除いた数値は-1.3%で14四半期ぶりのマイナス。製造業が-1.4%と悪い。全産業売上高は-1.5%で製造業は-3.4%、非製造業は-0.7%。製造業の経常利益は-12.2%。しかしドル円は9月下旬に100円台まで円高が進んでいたので逆風参考記録。

 ドル円が114円80銭付近まで進んだ為替の円安を背景に日経平均は大幅高で始まり、序盤で18600円台に乗せる。原油高と為替の円安が重なると資源・エネルギー価格の上昇でコスト高になり、企業業績にも家計にも決していいとは言えないが、「デフレ脱却」を目指す政府・日銀にとっては少々のインフレ要因は歓迎、か? 10時台になっても下がる気配なし。10時に中国の国家統計局から11月のPMIが発表された。製造業PMIは51.7で市場予測を上回り、4ヵ月連続の50超えで2年4ヵ月ぶりの高水準。非製造業PMIは54.7で10月から上昇。10時45分発表の財新の製造業PMIも50.9で50超えだった。ドル円は114円台半ばで動かないが、50を上回った中国のPMI、プラスで始まった上海の上昇で日経平均は10時台後半から高値追い。18700円を突破し、11時台には18750円に迫った。TOPIXは1500の大台に肉薄。前引けは413円高の18722円。前場は中国リスクが後退してにわかに買いが集まった。

 後場は前引けよりもやや安く再開するが、1時台後半までは18600円台後半の水準を維持する。しかし為替のドル円が円高方向に振れると値を崩し、18600円を割り込む。2時に11月の新車、軽自動車の販売台数が発表された。合計で前年同月比+7.4%の41万7602台で3ヵ月ぶりのプラス。増加率は2年8ヵ月ぶりの大きさ。登録車は+13.9%で4ヵ月連続のプラス。2ケタ増は消費増税の駆け込み需要があった2014年3月以来。軽自動車は-3.0%で23ヵ月連続マイナス。軽自動車増税の影響が尾を引いている。2時台の日経平均は一時114円を割り込んだドル円レートの円高に伴い上昇幅を圧縮し、安値を更新し18500円も割り込む。終盤は18500円をはさみ上下に動いたが、大引けは18500円台で終了。日経平均先物日中取引は18400円で安値引け。バリアント社の事業の買収交渉決裂が報じられた武田薬品<4502>は0.32%安。カナダ・ケベック州の企業だが、ウェバー社長の「フレンチ・コネクション」は効かなかった?

 日経平均終値は204.64円高の18513.12円、TOPIX終値は+13.84の1483.27。売買高は28億株、売買代金は3兆2911億円と多い。値上がり銘柄数は1137、値下がり銘柄数は735。プラスは26業種で、上位はエネルギー関連がトップを占め鉱業、石油・石炭、証券、保険、銀行、海運など。マイナスは空運、ゴム製品、パルプ・紙、水産・農林、陸運、医薬品、食料品の7業種。上海総合指数は0.71%高だった。

 2日の日経平均は3日ぶりの反落。10月のユーロ圏の失業率は9.8%で7年3ヵ月ぶりの低水準。しかし4日のイタリア国民投票への懸念が根強くヨーロッパ市場は軒並み安。「サンタクロース・ラリー」の12月の取引が始まったが、NYダウは終値51ドル台まで上昇した原油先物価格を好感し68ドル高、3日続伸、3日連続で終値は史上最高値を更新したがNASDAQ、S&P500はマイナス。エネルギーと金融のセクターばかり元気でもアメリカ経済は回らない。金先物は下落した。

 アメリカの新車販売台数は+3.7%で市場予測を上回り、ビッグ3はFCA(フィアット・クライスラー)以外プラス。日本メーカーも揃って好調で、フォルクスワーゲンまでプラスだった。建設支出は+0.5%で7ヵ月ぶりの高水準。ISM製造業景況感指数は1.2ポイント上昇の53.2で5ヵ月ぶりの高水準だが雇用指数は低下。人員削減数は12%減だったが、週間新規失業保険申請件数は1.7万件増加し、2日の11月の雇用統計は決して予断を許さない。1ドルショップ、ダラー・ゼネラルの決算は増収減益でEPS(1株当たり利益)が市場予測を下回り、株価下落。アメリカの長期金利は上昇して2.5%に迫り1年半ぶりの高水準。金利高、ドル高の流れは続いて朝方の為替レートはドル円が114円台前半、ユーロ円が121円台後半。大阪夜間取引終値は18410円。CME先物清算値は18440円。