矢野経済研究所では、国内の食品通販市場の調査を実施した。調査期間は2016 年8月~9月、調査対象は通信販売事業者、食品関連企業、生協、食品小売事業者、食品卸等。調査方法は同社専門研究員によるアンケート調査、電話・e-mail によるヒアリング、ならびに文献調査を併用した。
それによると、2015年度の国内食品通販市場規模(小売金額ベース)は、前年度比106.3%の3兆3,768億円となり、引き続き拡大した。インターネット通販全体が拡大する中、食品も通信販売や宅配サービスなどの無店舗販売ルートで購入することが常態化しつつあり、市場が拡大している。また、前年度に見られた消費税増税後の反動から回復したことも市場を押し上げたとしている。
従来、お取り寄せグルメなどの需要が食品通販市場を牽引していたが、昨今はそれに加えて日常品分野における食品通販が大きく伸びている。インターネット通販全体が急速に普及する中で、消費者において、食品や日用品も通販で購入するニーズが増加しており、これまで食品を取り扱っていなかった通販企業が食品の取扱いを強化し始めたり、オフィス通販に特化した企業が BtoC サービスに参入したりといった動きが加速し、市場の成長要因となっているという。
国内食品通販市場規模は、今後も3~5%程度の伸長率で推移し、2020年度には2015年度比で117.7%の3兆9,734億円(小売金額ベース)に拡大すると予測している。特に、ショッピングサイトは、食品、日用品、生鮮食品と、徐々に生活に密着した商材に取扱いが拡大する傾向にあるという。この成長率を維持してショッピングサイトが拡大していくと、2019 年度前後にショッピングサイトと生協の市場規模が逆転する可能性もあると考えるとしている。(編集担当:慶尾六郎)