業界初、ラピスが家電向けマイコンと音声再生機能を1チップ化

2012年04月09日 11:00

k120407_014_2

ロームグループのラピスセミコンダクタが、これまでの家電向けマイコン機能に加え、高音質で低消費電力な音声再生機能を業界で初めてワンチップ化したローパワーマイクロコントローラ「ML610Q380シリーズ」を開発し5月より順次量産出荷を開始する。

 ロームグループのラピスセミコンダクタが、これまでの家電向けマイコン機能に加え、高音質で低消費電力な音声再生機能を業界で初めてワンチップ化したローパワーマイクロコントローラ「ML610Q380シリーズ」を開発した。同製品は、2012年5月より順次量産出荷を開始する予定という。

 従来の家電向けマイコンは音声再生機能がないため、音声機能を追加したい場合、音声合成機能やスピーカアンプを別チップで構成する必要があった。しかし、今回発表された新製品では、これがワンチップ化されており、これまでの家電向けマイコンを置き換え、簡単に音声機能を実現することができるという。また、マイコン、音声機能、スピーカアンプだけでなく、IGBTを制御するPWM回路、LCDドライバなど、家電機器で必要となるペリフェラル機能をワンチップに搭載。スタンバイ時の低消費電力化にも対応している。さらに、マイコンを用いて音声再生を行う方法として、ミドルウェアによる再生があるが、新製品では、高音質な音声合成エンジンをハードウェアとして搭載しており、ミドルウェアによる方法と比較して、CPUでの音声処理が不要で安定したプログラム実行が可能になる。ローパスフィルタやスピーカアンプも内蔵しているため外付け部品が不要、ノイズ放射やノイズ混入による音質劣化のリスクが最小に抑えられるなどのメリットもある。

 「ユニバーサルデザイン」という言葉が象徴するように、誰にでも分りやすく使える商品が求められており、音声によるガイダンス付きの商品のニーズが増加している。音声LSIでは国内市場No1の実績のあるラピスセミコンダクタによる今回の新製品は、この流れを加速させるものとなるであろう。誰でも分かりやすく使用出来ると言うことは、商品のターゲット層が広がり、市場の拡大に繋がると言える。高齢化がすすむ日本国内市場では、このような商品開発が今後も増えていくのかもしれない。