外務大臣 レーダー照射、中国に説明責任果してもらう

2013年02月12日 15:32

 岸田文雄外務大臣は12日の記者会見で、中国軍艦艇が海上自衛隊護衛艦に射撃用レーダーを照射した事件について「中国側に説明責任をしっかり果してもらうため、説明をしっかり求めていく」と強く中国側に説明責任があり、これを求めるとした。

 また、レーダー照射が国連憲章にいう武力による威嚇にあたるかどうかでは「実際の状況や意図など、総合的に勘案しなければならない」とした。岸田外務大臣は「そのためにも、しっかり状況確認をする」必要をあげた。

 一方、中国側はレーダー照射の事実を否定し「日本の捏造」としていることには「防衛省より慎重に分析した。その結果を公表した」として「中国側が事実に反すると発言していることに、われわれは受け入れることはできない。事実を認め、冷静に対応し、再発防止に努めてもらわなければならない」と強くけん制した。

 小野寺五典防衛大臣は同日の記者会見で、照射の判断について「今回の護衛艦等の機材が収集したデータは海上自衛隊の電子情報支援隊にあるが、照射を受けたレーダーの周波数等の電波特性や護衛艦等と相手の位置関係など、こういう現場の状況などを慎重かつ詳細に分析した」と語った。

 小野寺防衛大臣は、そのうえで、証拠開示については「官房長官からも話があるように、関係省庁で調整を行うこととなる。防衛省としては中国側の反応を見極める必要があり、記録を公表した際、自衛隊の情報収集・分析能力が明らかになるということも踏まえて対応したい」と語った。

 レーダー照射事件は小野寺防衛大臣が今月5日の臨時記者会見で明らかにしたもので、小野寺大臣は「1月30日午前10時頃、東シナ海で中国海軍ジャンウェイⅡ級フリゲート1隻から、海上自衛隊の護衛艦(ゆうだち)に対して、火器管制レーダーのようなものの照射があった。防衛省として精査したが、これがいわゆる射撃用のレーダーということが確認された」とした。

 小野寺大臣は「1月19日午後5時頃にも、東シナ海で中国海軍ジャンカイⅠ級フリゲート艦から海上自衛隊護衛艦(おおなみ)搭載のヘリコプターに対して、同じような火器管制レーダーの照射が疑われる事案が発生している」と発表。中国側は捏造だと反論し、事実関係を認めていない。

 尖閣国有化以来、日中間の領土・領海に関係する緊張が高まっており、漁業でも今年に入って操業水域違反などで中国底引き網漁船の拿捕が2月11日までに3件発生。昨年1年(2件)の拿捕件数をすでに超え、平成21年の年間件数に並んだ。(編集担当:森高龍二)