半導体製造の次世代プロセス「ナノインプリント技術」とは DICが対応レジスト用樹脂を開発

2016年12月29日 11:03

 スマートフォンなど様々な電子機器の小型化、高機能化を実現するため、内蔵する半導体集積回路は微細化による高集積化が進められてきた。これまではフォトリソグラフィ技術を発展させることで回路パターンの微細化が進んできたが、同技術における微細化は既に理論限界を迎えているといわれており、そのためいくつかの次世代プロセスが企業や研究機関で検討されている。

 DICは、半導体製造の次世代プロセスとして有望なナノインプリント技術(NIL)に対応したレジスト用樹脂を開発した。同開発品は、長年培った当社独自の合成技術を駆使した有機無機ハイブリッド樹脂をベースとしており、数年前より大手デバイスメーカー向けにサンプルワークを実施し、実用化に向け高い評価を得ているという。

 NILは前述した課題において、有望な次世代プロセスと言われている。同プロセスは、ナノスケールの微細な凹凸を施したパターンを有するテンプレートと呼ばれる型(原版)を、事前に基板上に塗布したUV硬化型レジストに押し当て、型取りし、UV照射により硬化させることで微細パターンのエッチングマスクを形成させる次世代微細加工技術。NILはフォトリソグラフィのような複雑な工程を必要とせず、テンプレートの凹凸パターンから直接エッチングマスクを転写するため、大幅な工程短縮およびコストダウンにつながる技術として大きく期待されている。

 しかし、NILの課題として、UV硬化後のレジストからテンプレートを引き剥がす際に生じる離型不良(パターン欠陥の発生)が挙げられている。NILを次世代プロセスとして確立し、精度の高い微細なパターンを形成させるため、生産装置、材料など様々な面から検討が進められている。

 今回同社が開発したレジスト用樹脂は、同社が得意とするUV硬化型有機無機複合樹脂をベースとしている。樹脂を構造から設計し直すことで、レジストマスクとして必要なドライエッチング耐性(プラズマ中の反応性ガスへの耐性)を高めるとともに、下地への濡れ性および密着性、優れた光硬化性、そして離型性など、NILプロセスに最適化した樹脂を開発した。(編集担当:慶尾六郎)