総務省は12日、NHKが10日に「横浜放送局の営業部男性職員(40代)が伝票を不正に操作し、受信料を着服した疑いがある」と発表したことについて、昨年10月に把握しながら公表しなかったことを含め「受信料収入によって成り立つNHKに対する国民・視聴者の信頼を著しく損なうものと言わざるを得ない」と厳重注意した。またNHKの全国の放送局の業務実態の点検を進めるよう求めた。
NHKの発表によると男性職員に受信料の不正操作による着服の疑いがみつかり、昨年10月から内部調査を始めたが、調査中に男性職員が死亡したという。NHKはこの時、公表せず、今月10日になって発表した。また、着服の手口では受信料過払い分を戻す処理を悪用したとしている。着服額は数十万円。被害額確定次第、NHKに弁済させる考えを示している。
この案件で、総務省は「これまで数次にわたって子会社を含むグループ全体におけるガバナンスの強化とコンプライアンスの徹底を要請してきた。にもかかわらず、このような事態が生じたことは誠に遺憾」とし「放送を公共の福祉に適合するように規律し、その健全な発達を図ることを目的とする放送法の趣旨に照らし、厳重に注意する」とした。
そのうえで「事件の原因、経緯について速やかに報告するよう」求めたほか「業務の実施体制、チェック体制を徹底的に見直し、再発防止策を今月末までに報告するよう」求めた。(編集担当:森高龍二)