脳の活性化に有効な会話を脳血流量から判断 対話ロボットでの活用に期待

2017年02月13日 08:54

画.脳の活性化に有効な会話を脳血流量から判断 対話ロホ_ットて_の活用に期待

革新的研究開発推進プログラム(ImPACT)の研究開発プログラムの一環として、国際電気通信基礎技術研究所らのグループは、脳血流量から話題の難易度を評価する方法を提案した。研究では、難易度の異なる話題を聞き、それぞれの脳血流量を近赤外線分光法装置にて測定、血流量データから、話題の難しさに応じた脳血流量の変化が識別できるようなデータ処理を行った。

近年の研究で、使われなくなった脳機能は低下しやすいことがわかっており、会話などの知的活動が脳機能の維持にとって重要とされる。また、対話ロボットの登場により会話での話題選択がより柔軟に可能となったことに加え、高齢者では人型の対話ロボットとの会話を好むことがわかってきた。一方で、どんな話題が個々の高齢者の脳を活性化させるのに有効かといった判別は不能であり、知的活動として会話をより効果的に用いるために、脳の活動状態を把握するプログラムの開発が求められていた。こうしたことを受け、内閣府総合科学技術・イノベーション会議(CSTI)が主導する革新的研究開発推進プログラム(ImPACT)の研究開発プログラムの一環として、国際電気通信基礎技術研究所らのグループは、脳血流量から話題の難易度を評価する方法を提案した。

 研究では、難易度の異なる話題を聞き、それぞれの脳血流量を近赤外線分光法装置にて測定、血流量データから、話題の難しさに応じた脳血流量の変化が識別できるようなデータ処理を行った。対話に必要な認知機能であるワーキングメモリに焦点を当て、この能力を測る代表的な課題「n-back課題」を異なる難易度で実施。同手法での評価精度を複数の既存手法と比較した結果、同手法では約75%の精度だったのに対して他の手法は最高でも約67%となった。さらに、性差を考慮して評価した結果、80%を超える高精度を示した。
 
 同手法を応用することで、高齢者の認知機能維持に有効な対話ロボットの開発が実現すると考えられる。また、脳の活動状態を可視化することで、講演会や授業などでの話題への興味や聞こうとする姿勢が把握できると考えられ、脳血流量モニタリング結果を考慮して話を進行することも可能となる。相手の趣味に合わせた会話の提供や、興味がありそうなコンテンツを自分で探して通知するなど対話ロボットの進化のスピードは速いが、脳血流量から適切な話題を選択する対話ロボットが開発されれば、より効果的に脳の活性化を促すことが可能となることから研究の進展に注目していきたい。(編集担当:久保田雄城)