スノーモービルはスキー場や山間部でのパトロール・救護活動から、山林の管理や日常生活での軽作業などの業務で幅広く使用されているが、スキーやスノボのように、ウィンタースポーツとしても遊び方があるあることはご存知だろうか。
ウィンタースポーツが盛んなアメリカやカナダなどの北米地区では、スノーモービルは多くの人たちが楽しむウィンターレジャーのひとつとして人気を博しており、また、ここ最近では、経済成長が著しいロシアでも、厳しい冬の生活を支える貴重な移動手段として、スノーモービルの需要は増加傾向にあるという。一方、国内に目を向けると、まだまだ業務用レベルのものが多く、一部のコアなファンを除いて、一般的には浸透しているとは言い難い。国内で唯一のスノーモビルメーカーであるヤマハ発動機の広報担当者は、「日本では、スノーモ-ビルは一般の方にはあまり馴染みがないかもしれませんが、乗ってみるととても楽しいので、是非一度体験して頂きたいですね」と言う。
ヤマハ発動機は1968年に第1号モデル「SL350」を発表して以来、さまざまな需要に応えるスノーモービルを発売してきた。近年国内の総需要は約900台前後で推移している(JSSA[日本スノーモービル安全普及協会]公表データ)。 そのような中、先日発表された同社の2013年モデルは、マルチパーパスモデル3機種とスポーツモデル4機種の全7機種での展開で、中でもマルチパーパスモデルの2機種については、リアサスペンション、トラック、スキーなどの足まわりを一新するなど久々のモデルチェンジを行い、新深雪の走行性能や操縦性などを向上しているという。
現在、国内でもスノーモービルの楽しさをひとりでも多くに人に知ってもらおうと、車両レンタルや講習などのサービスを行うレジャー施設がある。都心からのアクセスも良い栃木県のきぬがわ高原カントリークラブでは、スノーモービル専用のコースを設置し、誰でも気軽にスノーモービルを体験できるサービスを実施している。興味がある人は1時間程度の講習を受ければ2年間有効のスノーモービルライセンスも取得することができるという。このライセンスは、全国各地40箇所のヤマハスノーモービルランドで有効で、いつでも自由にツーリングを楽しむことができるのだ。きぬがわ高原カントリークラブでスノーモービルのインストラクターをする君島氏は、「最近では、お子様を連れたご家族の方や、団体でやってくる方など、レンタルを利用される方が増えてきています。初心者の方でも、基本的な操作方法を聞いていただければ簡単に乗ることができます。一度、雪に覆われた美しい景色の中をスノーモービルで駆け抜けると、その楽しさから、リピーターになられる方も多いですよ」と話してくれた。
スノーモービルは、自動車や二輪車のように公道を走らないため、法律で定められた免許は必要がない。スノーモービルを所有していなくても、レンタルを利用すればいつでも気軽に楽しめるということは、我々ウィンターレジャーを楽しむ側にとっても歓迎すべき点だ。また、保管や車両運搬の手間などからスノーモービルを個人で所有することに不安がある方のために、きぬがわ高原カントリークラブでは、個人所有のスノーモービルの保管にも対応しており、オーナーは好きなときに訪れて愛車でコースライドを楽しんでいるという。
実際に、ツアーコースをスノーモービルで回ってみると、自転車やバイクとはまた違った新雪の中を走り抜ける新しい操作感と、いつもと違った景色を堪能することができ、冬の週末を楽しむための選択肢が広がったようにさえ思えた。