豊田通商が、ベトナムの冷凍野菜製造会社であるダラット ジャパン フード(DJF社)にグループで30%出資し、同国での冷凍野菜製造事業に参入すると発表。日本市場向けのみならず、堅調な成長が見込まれているベトナム国内を含めた東南アジア市場などへ、DJF社が製造する高品質な冷凍野菜原料を拡販していくことを目指す。
DJF社は、ベトナム中部高原地帯で栽培された野菜を原料にした、日本市場向けの冷凍野菜製造において、長年の実績を持っている企業。豊田通商は、ベトナムの冷凍野菜のトレーディングに加え、製造事業に参入することにより、日本市場向けの冷凍野菜原料の安定調達先を確保。また、外部専門機関と業務提携し共同策定した、独自の食料安全管理システムをDJF社に導入し、更なる安心・安全の確保を追求するという。
富士経済によると、冷凍野菜2011年の市場規模は912億円と前年比103.8%。現在も、国産生鮮野菜の価格不安定や、東日本大震災後の原発事故による放射能への不安から、需要が伸長している。安全性の問題から一時期は激減した中国からの輸入量であるが、近年では不安感が薄れ、市場の伸長とあまってその輸入量は増加傾向にあるという。一方で、中国では人件費の高騰や内需拡大しており、冷凍野菜の価格高騰は避けられない状況にある。今回、豊田通商に参入したベトナムはどうであろう。今のところ、ベトナム産での安全性の問題は取り沙汰されていないが、このまま安全な冷凍野菜を安定的に供給出来るであろうか。未だに払拭しきれていない中国産冷凍野菜への安全性への疑念と価格高騰を背に、ベトナム産が取って代わって市場を確保できるのか。消費者意識の変動とともに、今後の動向が注目される。