アメリカの主要企業の決算発表は、20日にシンタス、21日にレナー、ナイキ、ゼネラルミルズ、フェデックス、22日にKBホーム、23日にアクセンチュア、マイクロン・テクノロジーが発表する予定。
前週末17日の終値は19521.59円だった。そのテクニカル・ポジションを確認すると、主要な移動平均線のうち5日線がその上にあり、それ以外の3本は下にある。5日移動平均は19586円で65円上、25日移動平均は19394円で127円下、75日移動平均は19182円で339円下、200日移動平均は17622円で1899円下にある。前々週末の10日と比べると4本とも上昇していた。
前週の日経平均は日足一目均衡表の「雲」に一度もタッチせず、ローソク足はその上空で推移した。週を追って、その週の最安値は徐々に切り上がっている。17日の雲は18919~19116円で、終値19521円は雲の上限19116円より405円上にあった。今週の雲は、4営業日とも下限は18921円、上限は19123円で固定される。雲の厚さは202円で薄い。来週の「権利付き最終売買日」の28日には雲の下限が19000円をオーバーし、4月には19150円を超える。上限のほうは4月に19300円台まで上昇するというスケジュール。
前々週末の10日時点では、終値はボリンジャーバンドの25日線+1σ~+2σの間だったが、前週末17日の終値19521円は-1σの19246円の275円上で、+1σの19543円の22円下。-1σ~+1σ間の「ニュートラル・ゾーン」でも、そのかなり上寄りに位置する。このため今週は、前週より程度がやや軽いが上値追いは制約を受け、下に抜けやすいポジション。テクニカル的にみて日経平均の上昇余地がそれほど大きくないので、19600円を超える高値追いには為替のドル円の115円台は必須条件。+2σの19691円を抜けて19700円台、19800円台に迫るにはドル円の116円台が欲しいところ。
オシレーター系指標は、17日も「買われすぎ」シグナルが1個点灯していた。3日以来2週ぶりの「買われすぎ」になったストキャスティクス(9日・Fast/%D)で、79.6で買われすぎ基準の75を上回った。10日には「買われすぎ」だった25日騰落レシオも114.64で、買われすぎ基準の120に近い。それ以外は、ボリュームレシオは53.1でニュートラル。25日移動平均乖離率は+0.65%。サイコロジカルラインは5勝7敗で41.67%と10日と同じ。RSI(相対力指数)は61.1で10日とほぼ同じ。RCI(順位相関指数)は+43.3で10日よりも高くなった。オシレーター指標について言えば、前週の週間騰落が83円安でも派手に乱高下しなかったので、やや高いポジションにある。
3月10日時点の需給データは、信用買い残は3日時点から142億円増の2兆4793億円で4週連続の増加。信用倍率(貸借倍率)は2.57倍から2.60倍に増加し2週ぶりの増加。信用評価損益率は-5.53から-5.19へ2週ぶりに改善した。裁定買い残は1182億円減の1兆7250億円で、4週ぶりに減少した。やはりメジャーSQ週は需給ポジションの区切りだった。
3月6~10日の投資主体別株式売買動向は、外国人は986億円の4週連続の売り越し。個人は975億円の3週連続の売り越し、信託銀行は255億円の6週連続の売り越しだった。「需給三国志」は三国とも売り越しで揃って3週間が経過。天下は定まったのか?
前週5日間のカラ売り比率は、13日が35.8%、14日が35.1%、15日が35.2%、16日が37.5%、17日が34.6%。FOMC、オランダの総選挙、日銀会合、トランプ政権の「予算方針」、BOE金融政策委員会と立て続けのイベントラッシュだったが、メジャーSQを通過した東京市場は冷静で40%を超えた日は一度もなく、カラ売り比率も16日以外は36%以下に下がっていた。「恐怖指数」とも言われる日経平均VI(ボラティリティー・インデックス)も週間通じて小さく、17日終値は14.62で10日終値の14.74から0.12ポイントも下落していた。週で最も高かった15日でも16を超えていない。日中値幅が平均で100円を割り込むほど小動きの日が続けば、そうなる。
前週末の17日、G20財務相・中央銀行総裁会議がドイツのバーデンバーデンで始まった。そのドイツのメルケル首相は訪米してトランプ大統領と会談したが、目新しいことは何もなくマーケットへの影響は限定的。ヨーロッパ市場は揃って上昇した。FOMCを通過して材料が出尽くし、ミシガン大学消費者マインド指数で期待インフレ率が低下し1980年以来の最低水準に落ち込んだこともありNYダウは19ドル安で小幅続落。NASDAQは続伸、S&P500は続落。原油先物価格は小幅高でもほぼ横ばいで48ドル台、金先物は続伸した。アメリカの長期金利が低下してドル、ユーロ売り円買いが進行し、ドル円は112円台後半、ユーロ円は121円近辺。大阪先物夜間取引終値は19320円。CME先物清算値は19295円。3月期末の権利配当落ち分約130円を足して19425~19450円。
日経平均は今年、単純なボックス相場が延々続いているように見えるかもしれないが、チャートを詳細に見ると「三角もちあい」になっている。それも上がフラットで、下が切り上がっていく「上昇型」「カタカナの『フ』の字型」のパターンを描いている。上昇時の高値は1月5日の19615円を3月2日の19668円まで抜けられず、その後も19600円を少し超える程度までで頭を抑えられているが、その間、下落時の安値は2月7日が18805円、2月27日が18995円、3月8日が19198円と、切り上がっている。
ローソク足チャートの解説書を見ると、このパターンの三角もちあいは「上放れで終わる」と書いてある。現状に当てはめると「吹っ切れたように上昇する局面は、決して遠くない」と解釈できる。問題はそれが、いつやって来るかというタイミングだ。
前週のイベントラッシュを通過し、今週は3連休明けで国内外の経済指標もイベントも少なく、3月の為替レートをしつこく円高にしている「レパトリ」もそろそろ一段落。28日の「権利付き最終売買日」に向けて配当取り、株主優待取りの買いも入りやすい。この間まで日経ジャスダック平均が21連騰するなど盛況だった新興市場や、新規IPOラッシュの「春のIPOまつり」の〃収穫〃を主力銘柄に再投資する動きが出てくるかもしれない。その他、年度末が近くなると通期業績見通しの上方修正や、自社株買い、公募増資のような新規ファイナンスの実施など、個別銘柄に株価アップにつながりそうなさまざまな動きが出てくる。