【今週の展望】イベントラッシュに昨年来高値圏を保てるか?

2017年03月12日 20:06

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前週は大発会の昨年来高値をクリアした。そこに立ちふさがる、イベントのパレード。オランダから、アメリカから、国内から、連れてくるのは春風か? 凍える寒風か?

 今週、3月第3週(13~17日)は5日間の取引。来週の月曜日の20日は「春分の日」で祝日休場するので、17日は利益確定売りがきつくなりがちな「3連休前の金曜日」。12日からアメリカが夏時間に移行するので、NY市場の終了時刻は日本時間で午前6時から午前5時へ1時間繰り上がる。東京市場が開くまでのインターバルは3時間から4時間に拡大するので、朝は少し余裕もできるか?

 とはいえ、14日の東芝<6502>の4~12月期決算発表期限、15日のオランダの総選挙、アメリカの予算教書、14~15日のFOMC、15~16日の日銀会合、17~18日のG20財務相・中央銀行総裁会議、19日からの安倍首相のヨーロッパ訪問とイベントがてんこ盛りの週では、余裕など持てないかもしれない。

 世界の主要株式市場の休場日は、13日にインド・ムンバイ市場が「ホーリー祭(水かけ祭)」で休場する。

 国内の経済指標は少ないが、イベントは15~16日の日銀の金融政策決定会合が最も重要。金融政策の大きな変更はないとみられるが、マイナーチェンジはあるかもしれない。

 13日には1月の機械受注、第三次産業活動指数、国内企業物価指数、14日には2月の首都圏・近畿圏新規マンション発売、15日には2月の訪日外国人客数が、それぞれ発表される。

 15日は春闘の「集中回答日」。アメリカのティラーソン国務長官が来日する。15~16日に日銀の金融政策決定会合が開かれる。16日の正午すぎに結果が発表され、大引け後に黒田総裁が記者会見を行う。19日から安倍首相がドイツ、フランス、イタリアを歴訪する。日本とEUの経済連携協定(EPA)の合意促進が主な目的。先に会談したトランプ大統領の意向を伝える役割も担う。

 主要銘柄の決算発表は端境期で少ない。14日に東芝が4~12月期決算を正式に発表する予定だが、監査法人が承認するかどうかも不透明。参考値は2月14日に発表された。

 13日はジャパンミート、シーズHD、萩原工業など。14日はファーマフーズ、トーエル、ツルハHD、ファーストロジック、ヤーマン、スバル興業など。15日は三井ハイテック、クスリのアオキ、エニグモ、トリケミカル、ACCESS、3Dマトリックス、東京楽天地など。16日はモロゾフ、丸善CHI、稲葉製作所、東京ドームなど。17日はベステラ、サンバイオ、オハラ、TASAKI、アルデプロなど。

 新規IPOは今週5件。「春のIPOまつり」たけなわ。

 15日にファイズ<9325>が東証マザーズに新規上場する。大阪市が本社で、EC運営企業の物流センターの管理、こん包等から配送まで一貫して業務を請け負う。公開価格は1250円。サードパーティーロジスティクスの良きパートナーの有無は、EC(電子商取引)の成功のカギを握ると言っても過言ではない。

 16日にうるる<3979>が東証マザーズに新規上場する。東京が本社で、個人事業主に外注するクラウドワーカーを活用したCGS事業の運営などを行う。公開価格は3000円。社名の由来は、オーストラリアの世界遺産エアーズロックの先住民アボリジニの間での呼び名「ウルル」。ダイキン工業<6367>のエアコンではない。

 16日にほぼ日<3560>がジャスダックに新規上場する。東京が本社で、インターネットを利用したコンテンツ提供及び商品の企画・販売を行う「小売業」。公開価格は2350円。有名コピーライターの糸井重里氏が創業社長。社名は「ほぼ日刊イトイ新聞」から。収益源の大半が「ほぼ日手帳」でも上場企業になれる不思議、大好きなら買い注文のクリックへ急げ!?

 17日にジャパンエレベーターサービスHD<6544>が東証マザーズに新規上場する。東京が本社で、エレベーター、エスカレーターの保守・保全業務やエレベーターのリニューアルを手がける。公開価格は550円。三菱電機、日立、東芝、オーチス、フジテック、シンドラーなどのメーカーの系列に属さない独立系のメンテナンス会社。どのメーカーの機種でも扱えるのが強み。

 17日にピーグリー<3981>が東証マザーズに新規上場する。東京が本社で、電子コミック配信サービス「まんが王国」を運営する。公開価格は1880円。プロの漫画家、イラストレーターの創作企画、プロジェクトへの資金支援者を募集するクラウドファンディング事業も行っている。

 海外の経済指標、イベントは、とにかく国内外で重要イベントがてんこ盛りのフルコース、満漢全席。

 14日には中国の2月の小売売上高、都市部固定資産投資、鉱工業生産、インドの2月の消費者物価指数(CPI)、ドイツの3月のZEW景況感指数、アメリカの2月の生産者物価指数(PPI)、15日にはアメリカの3月のNY連銀製造業景気指数、2月の消費者物価指数(CPI)、2月の小売売上高、3月のNAHB住宅市場指数、1月の企業在庫、対米証券投資、16日にはアメリカの2月の住宅着工件数、建設許可件数、3月のフィラデルフィア連銀製造業景況感指数、2月の半導体製造装置出荷額、17日にはアメリカの2月の鉱工業生産指数、設備稼働率、CB景気先行総合指数、3月のミシガン大学消費者マインド指数が、それぞれ発表される。

 14~15日にFOMC(連邦公開市場委員会)が開かれる。昨年12月以来の政策金利の引き上げは連銀総裁、FRBの理事、副議長、議長が口を揃えて肯定的な発言をしている既定路線で、利上げしてもそれはすでに織り込み済み。もしなければサプライズ。15日にイエレンFRB議長が記者会見を行い、経済見通しを発表する。