【今週の展望】彼岸過迄、硝子戸の中での道草が続くのか?

2017年03月20日 20:04

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イベントを通過しても反応は鈍く、海外株高で期待すれば円高に流される。ポジションを持てば窮屈だ。とかく東京市場はやりにくい。

 今週、3月第4週(20~24日)は20日の月曜日が「春分の日」で祝日休場なので、4日間の取引。兜町には昔から「節分天井、彼岸底」という言葉があるが、最近は真逆になる年が多い。そのため「彼岸とは、秋のお彼岸のことだ」という〃珍解釈〃もある。来週28日は3月期決算銘柄の「権利付き最終売買日」なので、そろそろ配当取り、株主優待取りの買いも入ってくる時期になる。週末の26日にはヨーロッパも夏時間に移行する。

 世界の主要株式市場の休場日は、20日にメキシコが「ベニト・フアレス生誕記念日」で休場。19世紀の先住民出身初の大統領で、フランスの侵略に徹底抗戦した国民的英雄。イタリアの独裁者ムッソリーニの父親は、あやかろうとその名前を息子につけた。ある意味、名前負け。21日に南アフリカが「人権の日」で休場。1960年、アパルトヘイト反対のデモ行進が流血の惨事と化した日。後に国連は「人種差別撤廃デー」に定めた。

 国内の経済指標、イベントは少なく、最も重要なのは22日の貿易統計。21日に2月の主要コンビニ売上高、22日に2月の貿易統計、1月の全産業活動指数、2月の全国スーパー売上高、全国百貨店売上高が、それぞれ発表される。

 安倍首相は19~21日にヨーロッパを歴訪し、21日にブリュッセルでトゥスク大統領と日本・EU首脳会談を行う。22日に1月30~31日開催の日銀の金融政策決定会合の議事要旨が発表される。24日に気象庁から4~6月の3ヵ月予報が発表される。春の気温は乱高下せずに素直に高値追いしてくれた方が、景気には好都合。経済とは直接関係ないが、23日に国会で「森友学園問題」に関して籠池泰典理事長の証人喚問が行われる。

 主要銘柄の決算発表は非常に少ない。22日は石井表記、23日はオプトエレクトロニクス。

 新規IPOは今週7件。「春のIPOまつり」がピークを迎える。22日に上場を予定していたエスキュービズム<3982>は上場延期になり、早くても約半年先に延びる。

 21日にインターネットインフィニティー<6545>が東証マザーズに新規上場する。東京が本社で、ヘルスケアソリューション事業、在宅サービス事業を行う。公開価格は1320円。社名で誤解されそうだがネット関連企業ではなく介護関連企業。介護とITの融合を目指している。

 21日に力の源HD<3561>が東証マザーズに新規上場する。読み方は「ちからのみなもと」。福岡市が本社で、ラーメン専門店「博多一風堂」など複数の飲食店チェーンを傘下に抱える持株会社。公開価格は600円。有名店の「博多一風堂」はNYや上海など海外にも店舗がある。東京・渋谷のディスカウントストア「一風堂」とは無関係。

 22日にフルテック<6546>が東証2部に新規上場する。札幌市が本社で、自動ドア開閉装置、ステンレス建具の製造、販売、施工、保守を手がける。公開価格は600円。1963年の創業以来「自動ドア」の会社として技術を磨いてきた。自動ドアは今やどこにでもあり、いたずらする子どももいなくなったが、現代生活の重要なインフラ。

 22日にマクロミル<3978>が東証1部に上場する。東京が本社で、オンラインを中心としたマーケティング・リサーチ、デジタル・マーケティング・ソリューションを提供する。公開価格は1950円。ネットリサーチ(アンケート調査)最大手で一般的な知名度も高い大物IPO。2014年4月まで東証1部上場で、約3年ぶりの再上場。公募価格(1900~2100円)の上限ではないのが気がかり。投資ファンドがらみの再上場は「EXIT(イグジット)売り抜け案件」などと呼ばれ投資家から敬遠され気味だが……。

 23日にグリーンズ<6547>が東証2部、名古屋2部に新規上場する。三重県四日市市が本社で、全国でホテルやレストラン、バンケットサービスをチェーン運営する。公開価格は1400円。ブランドは「コンフォートホテル」「ベストイン」「グリーンホテル」「ホテルエコノ」、和食の「みやび」など。

 24日にソレイジア・ファーマ<4597>が東証マザーズに新規上場する。東京が本社で、悪性腫瘍にかかわる医薬品・医療機器の開発、販売を手がける。公開価格は185円。がん領域専門の創薬企業。導出先は協和発酵キリンや明治HD傘下の医薬品メーカーなど。

 24日にオロ<3983>が東証マザーズに新規上場する。東京が本社で、自社開発のERPパッケージの提供、保守、ウェブを活用したマーケティング支援事業を行う。公開価格は2070円。クラウドERP「ZAC Enterprise」が主力製品。社名の「オロ(oro)」はイタリア語、スペイン語で「黄金」という意味。

 海外の経済指標、イベントは、アメリカの22日の中古、23日の新築の住宅販売件数が重要。FRBの利上げはどの程度、住宅販売に影響を及ぼしているのか確かめたい。

 20日にはアメリカの2月のシカゴ連銀全米活動指数、21日にはアメリカの10~12月期の経常収支、22日にはアメリカの1月のFHFA住宅価格指数、2月の中古住宅販売件数、23日にはアメリカの2月の新築住宅販売件数、24日にはアメリカの2月の耐久財受注が、それぞれ発表される。

 20日にユーロ圏財務相会合が開かれる。20~24日にドイツのハノーバーで、ヨーロッパ最大のIT見本市「CeBIT」が開催される。23日にニュージーランドが政策金利を発表する。25日にイタリアのローマで、1957年の欧州共同体「ローマ条約」60周年の記念式典に続きEU首脳会議が開かれる。26日は香港の行政官選挙の投・開票日。26日にヨーロッパが夏時間に移行する。日本との時差はユーロ圏の大部分は7時間、英国とアイルランドは8時間に変わる。