【今週の展望】雇用統計前のメジャーSQ週では期待できず

2017年03月05日 20:42

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アメリカ雇用統計の週といえば「様子見」。SQ週といえば火曜、水曜の「鬼門」警戒。ましてや3月は先物ありのメジャーSQ。両方ダブルでくる週に、期待はしづらい。

 今週、3月第2週(6~10日)は5日間の取引。アメリカの雇用統計が10日に発表される週であり、東京市場では同じ10日に先物もオプションも全て清算値を算出する「メジャーSQ」が控えているSQ週でもある。需給要因で下落しやすい「鬼門」のSQ週の火曜日は7日、水曜日は8日。9日にはECB理事会があり、9~10日にはEU首脳会議が開かれる。12日にアメリカが夏時間に移行し、NY市場の終了時刻が日本時間で午前5時に繰り上がる。

 世界の主要株式市場の休場日は、8日にロシアが、国連が1975年に定めた「国際女性デー(女性の日)」で休場する。祝日なのはロシアなど旧ソ連の国だけ。もともとはロシア革命(二月革命/ロシアの旧暦)記念日。

 国内の経済指標は10日の法人企業景気予測調査が大きく、イベントは10日のメジャーSQが大きい。

 8日には10~12月期のGDP第2次速報値、1月の国際収支、景気動向指数、2月の景気ウォッチャー調査、9日には2月のマネーストック、東京都心部オフィス空室率、工作機械受注速報値、1月の毎月勤労統計調査、10日には1~3月期の法人企業景気予測調査、2月の国内企業物価指数が、それぞれ発表される。

 10日は3ヵ月ごとの「メジャーSQ」の清算値算出日。エルニーニョ監視速報が発表される。11日は東日本大震災発生から6年。12日にサウジアラビアのサルマン国王が来日し、15日まで滞在する。

 主要銘柄の決算発表は少ない。6日は学情、ダイドードリンコ、ピジョンなど。7日は不二電機など。8日はアスカネット、イハラケミカルなど。9日は積水ハウス、クミアイ化学、菱洋エレクトロなど。10日はカナモト、テンポス、鳥貴族、モルフォ、エイチーム、フリービット、gumi、神島化学、サムコ、アイモバイル、トーホー、シーイーシーなど。

 新規IPOは今週2件。3月中に22件もある「春のIPOまつり」がいよいよ7日から実施中。かならずもらえる素敵な刺激。リスクオン広がる春の東京市場、となるか?

 7日にロコンド<3558>が東証マザーズに新規上場する。東京が本社で、男女の靴とファッションの通販サイト「LOCONDO.jp」の運営、テナントへのプラットフォームサービスの提供を行う。公開価格は1850円。「自宅で試着。気軽に返品」がキャッチフレーズで、返品無料でリスクにあえて挑戦。それでも返品率は3割程度にとどまっているという。2017年2月期は黒字転換の見込み。社名は英語の「Loco(地元)」と日本語の「あきんど」の「んど」の合成語。

 9日にピーバンドットコム<3559>が東証マザーズに新規上場する。東京が本社で、プリント基板のEコマース事業を運営している。公開価格は1650円。「ピーバン(P板)」とは電子機器のプリント基板のことで、原理的には銅を貼った樹脂板に配線パターンを描き、それ以外の部分の銅を酸で腐食させ(エッチング)、メッキを施してつくる。その設計、製造、実装のワンストップサービスを提供する。メーカーの研究開発部門が試作で利用することが多いという。

 海外の経済指標はアメリカの7日の貿易収支、8日のADP雇用リポートが前座の10日の雇用統計が重要。イベントは9~10日のEU首脳会議と9日のECB理事会が重要。

 6日にはアメリカの1月の製造業受注、7日にはアメリカの1月の貿易収支、消費者信用残高、ブラジルの10~12月期のGDP、8日には中国の2月の貿易収支、アメリカの2月のADP雇用リポート、1月の卸売在庫、9日には中国の2月消費者物価指数(CPI)、生産者物価指数(PPI)、アメリカの2月の輸入物価、10日にはアメリカの2月の財政収支、雇用統計(非農業部門雇用者数の伸び、完全失業率、平均時給など)、ブラジルの2月の消費者物価指数(CPI)が、それぞれ発表される。

 7日にオーストラリアが政策金利を発表する。8~10日にアメリカのサンフランシスコで「グーグル・クラウド・ネクスト’17」が開催される。9日にECBの定例理事会があり、終了後にドラギ総裁が記者会見を行う。9~10日にEU首脳会議が開かれる。12日の日曜日にアメリカが夏時間に移行する。日本時間でNY市場の終了時間は午前6時から5時に、4月以降の雇用統計の発表は午後10時30分から9時30分に、それぞれ1時間繰り上がる。

 アメリカの主要企業の決算発表は、7日にブラウン・フォーマン、アーバン アウトフィッターズ、H&Rブロック、9日にシグネット・ジュエラーズ、アルタ・ビューティが発表する予定。

 前週末3月3日の終値は19469.17円だった。そのテクニカル・ポジションを確認すると、主要な移動平均線4本は全てその下にある。5日移動平均は19330円で139円下、25日移動平均は19224円で245円下、75日移動平均は18990円で479円下、200日移動平均は17479円で1990円下にある。前々週末の2月24日と比べると5日線がわずかに下落し、他の3本は上昇していた。

 日経平均は前週、2月27日のザラ場の下げで日足一目均衡表の「雲」の中に深く食い込んだが、終値では雲の上に出た。その後は一度も雲にタッチせず、ローソク足は上空にあった。3月3日の雲は18088~19100円で、終値19469円は雲の上限19100円より369円上にあった。今週の雲は、下限は6日に18535円で始まり、9日、10日の18689円まで上昇する。上限は週を通じて19133円で一定。3月3日の雲の厚さは1012円だったが、10日には444円まで薄くなる。雲の上限は4月初旬まで19000円を少し超える水準で推移するが、下限はどんどん上昇し、28日には19000円を超える。3月31日には雲の厚さは97円まで薄くなり、それだけ雲の下値サポート力が弱まることになる。

 前々週末の2月24日時点では、終値はボリンジャーバンドの25日線-1σ~+1σの間の「ニュートラル・ゾーン」におさまっていたが、前週末3月3日終値は+1σの19424円の45円上で、+2σの19624円の155円下、+3σの19824円の355円下にある。ニュートラル・ゾーンから上にずれている分、上値追いは若干やりにくく、下方向には動きやすいポジション。それでも19500円を超えて前週2日の終値19564円付近までの100円程度の上昇なら、できる余地はある。

 オシレーター系指標は「買われすぎ」シグナルが1個だけ点灯している。ストキャスティクス(9日・Fast/%D)で、81.5で買われすぎ基準の75をオーバーしている。それ以外は、ボリュームレシオは41.48でやや低め。25日移動平均乖離率は+1.27%。25日騰落レシオは108.13でやや高め。サイコロジカルラインは5勝7敗で41.67%とやや低め。RSI(相対力指数)は50.3。RCI(順位相関指数)は+41.7。前週は3連騰がありその間に457円上昇したが、その前の2月27日の下げが厳しかったので、3月3日時点では総じて言えばニュートラルだった。

 2月24日時点の需給データは、信用買い残は17日時点から260億円増の2兆4399億円で2週連続の増加。信用倍率(貸借倍率)は2.55倍から2.59倍に増加し2週連続の増加。信用評価損益率は-6.08から-5.33へ3週連続で改善。裁定買い残は373億円増の1兆7232億円で2週連続で増加した。「2週連続の改善」が多く、週間騰落48円高で投資家心理はさらに良くなっていた。

 2月20~24日の投資主体別株式売買動向は、外国人は727億円の2週連続の売り越し。売越額は36億円減。個人は409億円の2週ぶりの売り越し、信託銀行は220億円の4週連続の売り越しだった。週間騰落がプラスでも「需給三国志」は売り越しで天下統一。